講演情報
[II-P01-2-08]簡易的な教育介入によりQT延長をモニター心電図から判読することが可能になるか:RCT
○土屋 研人, 池山 貴也, 本村 誠, 和田 翔, 磯谷 肇男 (あいち小児保健医療総合センター)
キーワード:
QT延長、教育、モニター
【背景と目的】生体情報モニターは様々な臨床データを提供し,QT延長の兆候を捉えることが可能である.QT延長は致死性不整脈の原因となり,早期発見と対応が重要である.小児集中治療室においてはQT延長を惹起する薬剤や心臓外科術後等など疾患群の関係から,より注意深く観察する必要がある.QT延長の簡易的な認識方法として,「T波の終わりがR波とR波の半分を超えているか」の基準が知られているが,T波の頂点の方が認識しやすく思われる.本研究では,どちらの短時間の簡易的教育介入がモニター心電図上でQT延長のスクリーニングに有効かを検討した.【方法】PICU看護師を対象とした前方視的ランダム化比較研究.QT時間が正常な心電図と異常な心電図(QTcF 453~540msec)を5枚ずつ,第2誘導から数拍抽出しテスト問題とした.テストは介入前後のいずれも被験者に3秒間ずつ見せ,QT延長の有無の回答を得た.対象にはQT延長の簡易認識法として,[1]T波の終わりがR波とR波の半分を超えているか,または[2]T波の頂点がR波とR波の半分を超えているか,の2通りの教育介入をランダムに行い同様の方法でテストを施行した.介入前後の正答率や得点差(Δ)等をt検定を用いて統計した.【結果】被験者は計29名([1]14名,[2]15名)で,介入前の平均正答率は61%であり2群間における有意差は認めなかった.介入後の平均正答率は58%で,介入別では[1]の平均正答率は59%(Δ=-1.4±17(SD)),[2]の平均正答率は58%(Δ=-4.7±17(SD))であり介入によるQT延長の認識率に関する統計学的有意差はなかった(p=0.62).【結論】短時間の教育介入によりモニター心電図からQT延長の有無を迅速に認識することが可能か検討したが,今回の検討からは明らかな有意差は確認できなかった.正答率が予想に反して上昇しなかった原因として判読時間が3秒と短かったことや,小児特有の早い心拍数などが考えられた.今後簡易的に認識が可能かどうか更なる検討が必要である.