講演情報
[II-P02-5-01]当院での心血管造影CT検査におけるデクスメデトミジン鎮静使用の取り組み
○井口 貴文, 星野 真介, 藤田 聖実, 古川 央樹 (滋賀医科大学 小児科学講座)
キーワード:
画像検査、鎮静、デクスメデトミジン
【背景】デクスメデトミジン(DEX)が2023年2月に「小児の非挿管での非侵襲的な処置及び検査時の鎮静」の適応症で承認され、小児の検査時鎮静目的に承認される唯一の静脈麻酔薬となった。当院では2024年8月より、小児の画像撮像時の鎮静薬としてDEXを第一選択としており、取り組みを含め報告する。【方法】2024年8月から12月にかけて当院でDEX鎮静下に行った心血管造影CT検査の6例を対象に、合併症等に関して調査した。抄録提出時点では6例だが、発表までに増加が見込まれ、発表時には合わせて報告する。0歳4か月から6歳1か月(平均3歳4か月)の6例に対しDEXを用いた鎮静を行った。当院では小児鎮静下造影CTは、緊急時以外は夕方に撮影する決まりだが、可能な限り午睡をせず、前投薬なしで鎮静を行った。確保する静脈路は1本のみで、22G針での確保を原則とし、呼吸心拍モニターを装着下に、薬剤と造影剤を同一ルートから投与した。投与量は添付文書通りとした。【結果】全症例で薬剤の追加投与なく検査を遂行できた。薬剤の投与時間は7分から10分(平均8.8分)で、維持投与を必要とした症例はなかった。生後4か月の症例のみ、造影剤を投与し撮像を終えた際、低酸素血症はなかったものの一時的な無呼吸を認め、刺激と体位調整を要した。心拍数は平均22bpm低下し、平均低下率は22%だった。【考察】DEXは呼吸抑制が少ないと言われるが、低月齢児の場合には点滴本管の流量が少なく、鎮静剤投与終了から造影剤投与までの間に本管内にDEXが残存し、造影剤急速投与によって呼吸抑制が起こったものと推察された。【結語】全症例で検査を完遂できた。安全性に関しては数が少なく評価困難だが、低月齢児では本管流量を上げておくなど注意を要する。心拍数は抑えられることから、特に冠動脈造影CTにおけるメリットはあるものと思われた。