講演情報
[II-P02-5-02]無症候性の気管支動脈肺動脈瘻(BPAF)の4例:鑑別と治療管理に関する考察
○入佐 浩史, 井福 俊允, 山下 尚人 (宮崎県立宮崎病院 小児科)
キーワード:
気管支動脈肺動脈瘻(BPAF)、無症候性、造影CT
【背景】気管支動脈肺動脈瘻(BPAF)は気管支動脈と肺動脈の異常吻合と定義され、気管支拡張症、急性/慢性の肺感染症等を背景とした二次性BPAFが多く、特発性BPAFは稀である。喀血や肺うっ血、肺高血圧等を契機として、気管支鏡や胸部造影CT、気管支動脈造影で診断される事が多い。【症例1】9歳男児。川崎病罹患を契機に左前下行枝から主肺動脈に流入する冠動脈瘻(CAF)、BPAFと診断した。左冠動脈主幹部~分岐部は3SD程度の拡大で推移し、トレッドミル検査で負荷に伴うST変化や胸部症状は認めなかったが、CAFの拡張と左右シャント量は年々増大傾向となったため、16歳時に左冠動脈からの最も太いFistulaに対して経カテーテル的閉鎖を行った。閉鎖後もCAFは拡張しており、BPAFとも交通しているため、将来的にBPAFへの治療も検討している。【症例2】12歳女児。QT延長の精査時に心エコー検査で主肺動脈に吹き込む血流を認め、造影CTでBPAF/気管支動脈蔓状血管腫と診断した。【症例3】13歳男児。QT延長の精査時に心エコー検査で肺動脈分岐部に吹き込む血流を認め、造影CTでBPAFと診断した。気管支動脈は右冠動脈とも交通しており、今後冠血流や血行動態評価目的に心臓カテーテル検査を行う予定である。【症例4】9か月男児。心室中隔欠損症に対して1か月時に心内修復術を施行された。外来フォロー中の心エコー検査で肺動脈分岐部に吹き込む血流を認め動脈管開存症(PDA)が疑われたが、血管造影検査で気管支動脈の分枝と診断した。【考察・結論】いずれの症例も明らかな胸部症状なく経過している。無症候性の小児BPAFに対する治療管理方針は未だ確立されておらず、長期予後も不明であるため、症例毎に慎重な判断が必要である。診断には時にPDAやCAFとの鑑別が必要となる。心エコー検査で詳細な形態評価が困難な場合、造影CT検査や気管支動脈造影検査が有用である。