講演情報
[II-P02-5-03]特殊な肺静脈の形態を有し、治療方針決定に造影CT検査を必要とした総肺静脈還流異常の2症例
○田代 直子1, 倉岡 彩子1, 連 翔太1, 白水 優光1, 永田 弾2, 佐川 浩一1, 中野 俊秀3, 増本 陽介4, 立石 悠基4 (1.福岡市立こども病院 循環器科, 2.福岡市立こども病院 循環器集中治療科, 3.福岡市立こども病院 心臓血管外科, 4.九州大学病院 病理診断科・病理部)
キーワード:
総肺静脈還流異常、肺静脈狭窄、心臓造影CT検査
【背景】総肺静脈還流異常は原腸静脈叢の消退や、原腸静脈叢と卵黄静脈や主静脈との交通の消失、共通肺静脈の左房への吸収等の過程での障害により生じ、その程度により肺静脈の走行は様々なバリエーションをとりうる。
【症例1】日齢0の男児、胎児期に内臓錯位(右側相同)、両大血管右室起始症・肺動脈狭窄・総肺静脈還流異常と診断された。中等度の肺静脈狭窄が疑われ、選択的帝王切開術で在胎37週1日に2752gで出生した。出生後SpO2は60%から上昇せず気管内挿管された。心臓超音波検査では、肺静脈は左房後壁で共通肺静脈腔から垂直静脈として肝レベルまで下行、その後蛇行しながら上行する経路が確認困難であった。造影CT検査では、垂直静脈は腹部肝門脈レベルまで下降した後蛇行屈曲しながら椎体背側を上行し、左上大静脈へ合流していた。出生同日に肺静脈吻合術と肺動脈絞扼術を施行された。術後は乳糜胸水や上室性頻拍に対する治療を要したが改善し92日目に退院した。退院時に経鼻酸素療法は要さず、胸部単純X線写真で肺障害は目立たなかった。
【症例2】日齢0の男児、胎児診断はなく在胎37週0日に2529gで出生した。出生後遷延する高度チアノーゼの精査目的に心臓超音波検査を施行され、総肺静脈還流異常と診断された。手術目的に当院へ転院搬送され、来院時は気管挿管下で純酸素にNO 20ppmを併用した状態でSpO2は50%であり用手換気以外では酸素化を維持できなかった。心臓超音波検査では肺静脈の形態や走行の同定は困難であり、造影CT検査を施行した。共通肺静脈腔や各肺静脈は細く、手術不能と判断し同日死亡した。造影CT検査及び死亡翌日の病理解剖では、肺静脈は全体的に低形成であり、心臓後下方で共通肺静脈腔を形成後上行する経路や体静脈への流入部は同定できなかった。
【結語】特殊な肺静脈の形態を有し、治療方針決定に造影CT検査を必要とした総肺静脈還流異常の2例を経験したので報告する。
【症例1】日齢0の男児、胎児期に内臓錯位(右側相同)、両大血管右室起始症・肺動脈狭窄・総肺静脈還流異常と診断された。中等度の肺静脈狭窄が疑われ、選択的帝王切開術で在胎37週1日に2752gで出生した。出生後SpO2は60%から上昇せず気管内挿管された。心臓超音波検査では、肺静脈は左房後壁で共通肺静脈腔から垂直静脈として肝レベルまで下行、その後蛇行しながら上行する経路が確認困難であった。造影CT検査では、垂直静脈は腹部肝門脈レベルまで下降した後蛇行屈曲しながら椎体背側を上行し、左上大静脈へ合流していた。出生同日に肺静脈吻合術と肺動脈絞扼術を施行された。術後は乳糜胸水や上室性頻拍に対する治療を要したが改善し92日目に退院した。退院時に経鼻酸素療法は要さず、胸部単純X線写真で肺障害は目立たなかった。
【症例2】日齢0の男児、胎児診断はなく在胎37週0日に2529gで出生した。出生後遷延する高度チアノーゼの精査目的に心臓超音波検査を施行され、総肺静脈還流異常と診断された。手術目的に当院へ転院搬送され、来院時は気管挿管下で純酸素にNO 20ppmを併用した状態でSpO2は50%であり用手換気以外では酸素化を維持できなかった。心臓超音波検査では肺静脈の形態や走行の同定は困難であり、造影CT検査を施行した。共通肺静脈腔や各肺静脈は細く、手術不能と判断し同日死亡した。造影CT検査及び死亡翌日の病理解剖では、肺静脈は全体的に低形成であり、心臓後下方で共通肺静脈腔を形成後上行する経路や体静脈への流入部は同定できなかった。
【結語】特殊な肺静脈の形態を有し、治療方針決定に造影CT検査を必要とした総肺静脈還流異常の2例を経験したので報告する。