講演情報
[II-P02-5-04]造影CTからみた無脾症の形態学的特徴
○田中 惇史, 宗内 淳, 峰松 優季, 池田 正樹, 峰松 伸弥, 豊村 大亮, 清水 大輔, 杉谷 雄一郎, 渡邉 まみ江 (JCHO九州病院 小児科)
キーワード:
無脾症、造影CT、形態学
【目的】無脾症患者は共通房室弁口、肺動脈閉鎖、総肺静脈還流異常を含む複雑先天性心疾患を合併する。本研究の目的は、造影CT所見に基づき無脾症患者の心血管形態的特徴を抽出することである。【方法】術前に造影CT検査を行った無脾症患者を対象とし、造影CT所見をオフラインワークステーションAze Virtual Place TM(キャノンメディカルシステムズ)を用いて解析した。心房-心室-大血管関係および大血管の空間的位置関係を検討した(当院倫理委員会承認番862)。【結果】対象33例(女17例)。心房位正位21例(64%)、逆位12例(36%)、心室Dループ18例(55%)、Lループ15例(46%)であり、心房-心室関係不一致は20例(61%)、心室-大血管関係不一致29例(88%)であった。房室弁挿入は片側心室流入15例(46%)、両室均衡挿入11例(33%)、両室不均衡挿入7(21%)であり、共通房室弁口が27例(82%)にみられた。肺動脈経路は閉鎖14例(42%)[主肺動脈欠損11例(33%)]、狭窄17例(52%)であった。大動脈弓は左側15例(45%)、右側28例(85%)であり、動脈管は25例(76%)に観察され、大動脈弓と同側20例(60%)、対側5例(15%)だった。大動脈と肺動脈が前後関係にある症例が15例(46%)に観察された。総肺静脈還流異常は21例(63%)[上心臓型16例(76%):下心臓型2例(10%)]にみられ、うち術前に肺静脈経路狭窄(垂直静脈狭窄)合併は10例にみられた。両側上大静脈は14例(42%)であった。大動脈-肺動脈が前後関係であることは、肺動脈狭窄/閉鎖(P=0.001)または総肺静脈還流異常(心外型)(P=0.027)と有意に関連していたが、共通房室弁口や両側上大静脈とは関連がなかった。【結語】体肺大血管の空間的位置関係において前後関係にあることは、無脾症の特徴である右側相同性のより強固な表現型であり、無脾症でみられる特徴的な心形態である肺動脈狭窄/閉鎖や総肺静脈還流異常と関連すると考えられた。