講演情報
[II-P02-5-06]新生児冠動脈CTにおけるエドロホニウムの有用性
○山本 嵩, 河合 駿, 五十嵐 大二, 正本 雅斗, 中野 裕介, 渡辺 重朗 (横浜市立大学附属病院 小児循環器科)
キーワード:
MDCT、エドロホニウム、新生児
【背景】多列検出型CT(MDCT)は冠動脈形態評価において非常に有用な検査であるが呼吸や頻脈の影響を受けやすい。心拍調整の手段として年長児以上では短時間作用型β遮断薬の投与がされるが、新生児・乳児においては確立した方法がない。今回、エドロホニウムの投与により新生児におけるMDCTでの冠動脈評価の精度向上が得られるかその安全性とともに検討した。【目的】エドロホニウム投与がMDCTによる冠動脈の描出能に及ぼす影響とその安全性の検討【方法】対象は冠動脈評価のためにMDCT撮影を要した新生児3症例(症例1:日齢1, 完全大血管転位(TGA)1型. 症例2:日齢3, TGA1型. 症例3:日齢2, false Taussig Bing)。MDCT撮影時にエドロホニウム 0.1mg/kgの静脈内投与を施行した。評価項目は冠動脈起始及び走行様式の術前診断と術中診断の一致、エドロホニウム投与前後での心拍数の変化、有害事象の有無とした。【結果】全例でエドロホニウム投与により心拍数が20bpm程度低下し、有害事象を認めなかった。各症例の撮影時心拍数はそれぞれ125、135、115bpmであった。Shaher分類はそれぞれ5d、5c、4でありCTでの診断と術中診断は一致した。【考察】全例でエドロホニウム投与による心拍数低下と十分な冠動脈描出が得られ副作用を認めずに施行可能であった。エドロホニウムは速効性の可逆性コリンエステラーゼ阻害薬でありβ遮断薬と比較し循環抑制が少ない。加えて短時間で効果発現・消失する特性は血行動態が不安定な先天性心疾患の新生児においても有用である。【結論】エドロホニウム投与は、新生児におけるMDCTの冠動脈描出精度向上に対して有用である可能性がある。更なる検討を通じて有効性と安全性についてより正確な評価が求められる。