講演情報
[II-PPD2-2]HLHSのbilPABを初回介入とした段階的治療と肺動脈rehabillitationの検討
○松本 一希1, 朱 逸清1, 佐藤 純1, 小山 智史1, 吉井 公浩1, 大島 康徳1, 吉田 修一朗1, 西川 浩1, 櫻井 貴久2, 野中 利通2, 櫻井 一3 (1.JCHO中京病院 中京こどもハートセンター 小児循環器科, 2.JCHO中京病院 中京こどもハートセンター 心臓血管外科, 3.名古屋大学医学部附属病院 小児循環器センター 病院教授)
キーワード:
HLHS、bilPAB、PA rehabillitation
【背景】両側肺動脈絞扼術(bilPAB)により左心低形成(HLHS)のFontanへ辿り着ける症例は増えた一方で、肺動脈の発育については懸念がある。【方法】当院において2006年8月から2019年5月までに入院したHLHS患者67名について検討した。【対象と結果】67名のうちFontan手術まで到達した27名について検討した。平均値として、出生体重2860g。bilPABを行なった時期は、日齢3.1、体重2797gであった。Norwood手術(RV-PA導管24名)までのbilPABでの待機期間は28.9日、体重2983gであった。Glenn手術は5ヶ月時にPAI146で行われ、Fontan手術は26.4ヶ月、PAI139で行われた。直近のデータではCVP12.7,PAI 153 身長-2.1SDであった。カテーテルでの肺動脈へのballoon拡張はNorwoodからGlennまでで4例(14.8%)、Fontanまでに11例(40.7%)行われていた。Fontan後に肺動脈に介入を行なったのは10例(balloon9例、stent1例)(37.0%)であった。全体を通しては74%の児でPAballoonもしくはPA plastyが必要であった。肺動脈への介入とbilPAB期間には有意差はなく(p=0.26)、出生体重が小さい症例に肺動脈の介入が多い傾向にあった(p=0.06)。重症合併症は10例(死亡2例、PLE6例、脳症1例、SpO2低下1例)でFontan手術後に肺動脈に対して手術介入が必要であった症例はいなかった。【考察】現状の当院の方針としてRapid 2stageにおいて肺動脈への憂いはなかった。Norwood時にRV-PA導管を介しての肺動脈へのballoonは三尖弁温存の観点から避けており、GlennからFontan、Fontan後に多いと思われた。【結語】HLHSが依然重症疾患であることには変わりはないが、bilPABを挟み待機期間30日程度でのNorwood手術であれば、肺動脈へのballoon介入は必要になるかもしれないが肺動脈に対する単独手術はなしでFontan手術へ到達できる。HLHS児は身長が低くなる傾向があり事前のプレパレーションが必要である。