講演情報

[II-PPD2-4]両側肺動脈絞扼術によるNorwood術後遠隔期の新大動脈形態への影響

中辻 拡興, 小田 晋一郎, 藤田 周平, 本宮 久之, 夫 悠, 林 孝明, 山岸 正明 (京都府立医科大学 心臓血管外科・小児心臓血管外科)
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キーワード:

bPAB、HLHS、重症先天性心疾患

【目的】左心低形成症候群(HLHS)とその類縁疾患(vHLHS)に対するNorwood手術後の新大動脈(neoAo)は経時的に拡大することが知られている。両側肺動脈絞扼術(bPAB)がneoAo形態に与える影響について後方視的に検討した。【方法】2000年1月から2023年12月にNorwood手術を施行した54例中、遠隔期フォローが可能であった26例からNorwood術後に大動脈弁上狭窄に対して再手術を施行した2例を除外した24例を対象。bPAB群と非bPAB群に分類し、neoAo径の経時変化と再手術の有無を検討。bPAB術前、Norwood術前、Glenn術前、Fontan術前、就学前の新大動脈弁輪径(AVD)、Valsalva洞径(SVD)、ST junction径(STJD)を造影CTあるいは血管造影検査で測定し、正常Ao基部と比較しz scoreを算出。【結果】HLHS 16例、vHLHS 8例。bPAB群18例、非bPAB群6例。Norwood時の月齢中央値2.0ヶ月、体重中央値4.1kg。chimney reconstruction 13例。Follow-up期間中央値8年(1-18年)。フォンタン到達21例。bPAB群におけるbPAB術前/Norwood術前/Glenn術前/Fontan術前/就学前の各z scoreの中央値は、AVD:3.49/2.54/4.63/4.57/2.34、SVD:3.73/3.99/4.42/4.84/3.07、STJD:3.45/4.60/4.47/5.07/3.36であり、遠隔期の拡大は認めず。非bPAB群のNorwood術前/Glenn術前/Fontan術前/就学前の各z scoreの中央値は、AVD:3.91/2.88/4.65/1.88、SVD:3.88/3.63/4.66/2.96、STJD:5.25/4.80/5.72/3.82で、遠隔期の拡大はなく、bPAB群と有意差は認めず(就学前AVD; p=0.483, SVD; p=0.902, STJD p=0.599)。neoAo拡大への再手術は非bPAB群の1例で、Norwood後11年でSVD 39mm(z score=8.7)となり自己弁温存基部置換術を施行。bPAB群と非bPAB群でneoAo拡大への再手術回避率に有意差は認めず。【結語】Norwood術後遠隔期AVD、SVD、STJDの拡大に、bPABは影響しないことが示唆された。本疾患の特徴としてneoAoは正常大動脈と比較し拡大しており、長期的な形態評価が必須である。