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[III-OR31-02]両側肺動脈絞扼解除後の体心室流出路及び肺動脈の成長性の評価

山崎 誉斗1, 中山 祐樹1, 鳥羽 修平1, 新保 秀人2, 原田 智哉3, 牧野 宏俊3, 淀谷 典子3, 大橋 啓之3, 澤田 博文3, 三谷 義英3, 高尾 仁二1 (1.三重大学大学院医学系研究科 胸部心臓血管外科, 2.三重県立総合医療センター, 3.三重大学大学院医学系研究科 小児科)
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キーワード:

先天性心疾患、心臓外科手術、両側肺動脈絞扼術

【目的】 両側肺動脈絞扼(PAB)前後の体心室流出路と肺動脈の成長について検討する。【対象・方法】 2012年から2024年に両側PABを経て、二心室修復を行った12例(BVR群)、ノルウッド・グレン手術を行った10例(UVR群)を対象とし、後方視的に検討。疾患の内訳はBVR群が9例大動脈弓離断複合症、3例大動脈縮窄複合症、UVR群が9例左心低形成症候群又はその類縁疾患、1例左心系単心室症。両側PAB時の手術時日齢中央値はBVR群で13日 (3 ~ 45日)、UVR群で7日 (2 ~ 12日)。PAB期間中央値はBVR群で74日(14 ~ 131日)、UVR群で133日(117 ~ 152日)。【結果】 BVR群:大動脈弁輪径のZ scoreは両側PAB前で-3.2±1.0、BVR時で-2.4±1.0 、直近で-0.5±3.2と経時的に拡大を認めた。左右PAB解除部のZ scoreはBVR後で右側 -1.7±1.0、左側 -1.7±1.0であり、直近で右側 -1.5±0.9、左側 -1.9±0.9と有意差は認めず(右側p値=0.51、左側p値=0.61)、肺動脈への再手術やカテーテル治療は認めなかった。 UVR群:新大動脈弁輪部径のZ scoreは両側PAB時で0.2±1.0、ノルウッド・グレン手術時では1.3±0.9であり、有意な拡大を認めた(p値=0.01)。左PAB部解除部径のZ scoreはノルウッド・グレン手術後で-3.3±0.8。ノルウッド・グレン手術後の6例に左PAB解除部に対しカテーテル治療を行い、直近で-2.6±0.7と、ノルウッド・グレン手術後から有意な拡大を認めた(p値=0.04)。【結論】 BVR群ではPABを行うことにより左室流出路径は成長し、PAB解除後も肺動脈狭窄の進行は認めなかった。一方、UVR群では左PAB解除部に狭窄を認めたが、カテーテル治療により経時的な狭窄の改善を認めた。