講演情報
[III-P03-2-03]新生児・乳幼児期の開心術における血液疾患合併症予防の治療戦略
○片岡 功一1, 中川 直美1, 福嶋 遥佑1, 大西 佑治1, 岡本 健吾1, 守家 将平1, 鎌田 政博1,2, 久持 邦和3, 立石 篤史3, 東 健太3 (1.広島市立広島市民病院 循環器小児科, 2.たかの橋中央病院 小児循環器内科, 3.広島市立広島市民病院 心臓血管外科)
キーワード:
血液疾患、開心術、合併症
【はじめに】開心術に際して血液疾患の合併は周術期管理や予後に影響するが,報告は少ない.自験2例3回の開心術を通じて注意点を検討する.
【症例1】男児.在胎37週,体重2442gで出生.日齢2に哺乳不良で前医に紹介され,CoA/VSDの診断でlipo-PGE1投与下に当院に転院した.PTは正常,APTT 74.1秒と延長していた.日齢7の大動脈弓再建術+VSD閉鎖術中,出血が多く止血に難渋した.術後もAPTT延長は続き,第IX因子(F IX)活性低下(7.5%)と交差混合試験から血友病Bと診断され,F IX製剤の出血時投与法で経過観察された.その後,右室流出路狭窄が進行し,1歳2か月(体重8.4kg)で右室流出路形成術が施行された.術直前に半減期標準型F IX製剤をボーラス(1,500 IU)投与,術中は持続(3.6 IU/kg/時)投与され,出血はわずかであった.F IX活性80%以上を目標に,術後7日の胸腔ドレーン抜去まで半減期標準型および延長型製剤が投与され,術後11日に退院した.3歳の現在, 外来で出血時投与法を続けている.
【症例2】女児.在胎37週,体重3278gで出生.VSDの診断で日齢42に当院に紹介された.体重増加は不良で,月齢5の心臓カテーテル検査でQp/Qs 1.9,平均肺動脈圧20mmHgであった.月齢9に手術が計画されたが,好中球270/μLと減少があり延期された.精査で自己免疫性好中球減少症(抗好中球抗体陰性)と診断された.月齢11(体重7.7kg)でVSD閉鎖術が施行された.術前々日と前日のG-CSF製剤(50μg/m2)投与で好中球13,370/μLと増加,抗菌薬(CEZ)は通常どおり投与された.術後も好中球数は維持され,感染症の合併なく術後18日に退院した.術後2か月の現在までG-CSF製剤の追加投与は行っていない.
【まとめ】新生児・乳幼児の開心術において,未診断の血液疾患は周術期に重大な合併症をきたしうる.安全に手術に臨むには早期診断と計画的治療が重要で,術前血液検査の異常があれば血液疾患を疑い精査する必要がある.
【症例1】男児.在胎37週,体重2442gで出生.日齢2に哺乳不良で前医に紹介され,CoA/VSDの診断でlipo-PGE1投与下に当院に転院した.PTは正常,APTT 74.1秒と延長していた.日齢7の大動脈弓再建術+VSD閉鎖術中,出血が多く止血に難渋した.術後もAPTT延長は続き,第IX因子(F IX)活性低下(7.5%)と交差混合試験から血友病Bと診断され,F IX製剤の出血時投与法で経過観察された.その後,右室流出路狭窄が進行し,1歳2か月(体重8.4kg)で右室流出路形成術が施行された.術直前に半減期標準型F IX製剤をボーラス(1,500 IU)投与,術中は持続(3.6 IU/kg/時)投与され,出血はわずかであった.F IX活性80%以上を目標に,術後7日の胸腔ドレーン抜去まで半減期標準型および延長型製剤が投与され,術後11日に退院した.3歳の現在, 外来で出血時投与法を続けている.
【症例2】女児.在胎37週,体重3278gで出生.VSDの診断で日齢42に当院に紹介された.体重増加は不良で,月齢5の心臓カテーテル検査でQp/Qs 1.9,平均肺動脈圧20mmHgであった.月齢9に手術が計画されたが,好中球270/μLと減少があり延期された.精査で自己免疫性好中球減少症(抗好中球抗体陰性)と診断された.月齢11(体重7.7kg)でVSD閉鎖術が施行された.術前々日と前日のG-CSF製剤(50μg/m2)投与で好中球13,370/μLと増加,抗菌薬(CEZ)は通常どおり投与された.術後も好中球数は維持され,感染症の合併なく術後18日に退院した.術後2か月の現在までG-CSF製剤の追加投与は行っていない.
【まとめ】新生児・乳幼児の開心術において,未診断の血液疾患は周術期に重大な合併症をきたしうる.安全に手術に臨むには早期診断と計画的治療が重要で,術前血液検査の異常があれば血液疾患を疑い精査する必要がある.