セッション詳細

【オンデマンドシンポジウム10】女性における健康課題の解決策を考える―なぜ運動・スポーツが女性・健康無関心層対策の一つになるのか―

座長:大澤 絵里(国立保健医療科学院 公衆衛生政策研究部)
   久野 譜也(筑波大学大学院 人間総合科学学術院/内閣府SIP プログラムディレクター)
運動不足は、将来の死亡リスクや要介護・認知症リスクであるとともに、子育て世代の女性にとっては育児ストレスや不調等の遠因ともなっている。さらに近年では、月経随伴症状を含む不定愁訴といった女性特有の健康課題によって年間約3.4 兆円の労働生産性損失を生んでいることも明らかとなり、地域のみならず、職域における対策の必要性も強く指摘されている。
こうした中、厚生労働省では、健康日本21 や健やか親子21とともに、「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」を策定するなどして、身体活動の促進が図られている。また、スポーツ庁においても、スポーツ基本法にもとづくスポーツ基本計画において、運動・スポーツ施策と健康施策の融合を意識した女性・健康無関心層への対策が具体的に推進され出している。
一方、国家課題の解決を社会実装する内閣府SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)における「包摂的コミュニティプラットフォームの構築」プロジェクトでは、子育て女性が自身の健康を二の次三の次にして不定愁訴等に悩まされている現状や、産後に早期の職場復帰を余儀なくされ、職場におけるWell-being 経営が不十分、かつ管理職等の不理解が散見される中で、心身の不調を抱え続けている働く若年女性の厳しい状況が把握され、課題解決の糸口が明らかになりつつある。
そこで、本シンポジウムでは、女性・健康無関心層における健幸・Well-being 最大化に向けた運動・スポーツの実効力ある環境整備の方向性について、産官学の立場から討論する。具体的には、女性の運動・スポーツ実施率の現状と対策、子育て女性のセルフケアとしての運動・スポーツのエビデンス等とともに、施策に横串を指す「スマートウエルネス シティ推進プラン」を策定の上、分野間連携でカバー率を向上させるべく多様な都市空間を健幸を産み出す源泉として活用しはじめた自治体や、「Well-being 経営」の概念を取り入れた職域における新たな展開事例などを紹介する。
また、ここまで「健康無関心層」と一括りに表現してきたが、その中には「取り組みたくても環境未整備を理由に実践できずにいる層」が存在する。こうした改善可能性の高い層の類型化、無関心層の精緻な階層化の必要性にも論及する予定である。

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[オンデマンドシンポジウム10-1]都市施策と健康施策を融合したスマートウエルネスシティ推進プラン

*菅原 文仁1 (1. 埼玉県戸田市長)

[オンデマンドシンポジウム10-2]女性のWell-being向上に向けた運動療法の提案 ー薬に頼らない究極の予防医療ー

*北出 真理1 (1. 順天堂大学産婦人科学講座)

[オンデマンドシンポジウム10-3]女性を核としたWell-being経営と健幸との関係

*塚尾 晶子1 (1. つくばウエルネスリサーチ)

[オンデマンドシンポジウム10-4]女性の運動・スポーツ実施の現状と今後の方向性

*中村 宇一1 (1. スポーツ庁健康スポーツ課)