セッション詳細

【ランチョンセミナー1】誰一人、大腸がんで亡くならない世界へ

2025年10月29日(水) 12:20 〜 13:20
第1会場 (中ホール:1階)
座長:三宅 基隆(国立がん研究センター中央病院放射線診断科)
演者:鶴丸 大介(九州大学大学院医学研究院臨床放射線科学分野)
   森本 毅(聖マリアンナ医科大学放射線診断・IVR科)
   岡本 将輝(Boston Medical Sciences 株式会社)
共催:Boston Medical Sciences 株式会社
大腸がんは世界的に主要な死因の一つであり、早期発見と適切な治療介入が予後改善の鍵を握る。しかし現行の大腸がん検査法にはそれぞれ固有の課題が存在し、特に検査忌避は深刻な問題として残されている。大腸内視鏡検査は極めて高い診断能を有する一方で、下剤を用いた前処置の負担やスコープ挿入に伴う痛みや不快感が受診回避の大きな要因となる。その結果、本来であれば早期に発見できる病変が見逃され、進行がんとして診断されるケースも少なくない。こうした現状を改善するためには、低侵襲でありながら精度が高く、かつ医療現場で依頼しやすい新たな検査手法の開発と普及が求められる。その有力な選択肢の一つとして、近年ではCTを用いた「大腸CT検査」が注目されており、内視鏡検査を補完する存在として期待されている。
さらに、人工知能(AI)の進歩は大腸がん検査に新たな可能性をもたらしている。AIによる画像解析や臨床データ解析の精度は飛躍的に高まり、医師の診断を支援するツールとして活用が進めば、病変の早期発見や診断精度の向上に直結する可能性がある。今後はAI技術をどのように臨床の現場に導入し、従来の検査と統合していくかが重要な課題となる。
本セミナーでは、既存の大腸がん検査法とスクリーニング体制の全体像を概説した上で、消化器内視鏡専門医、放射線診断専門医、技術開発者が鼎談形式で議論する。大腸内視鏡検査および大腸CT検査の現状と課題、AI技術の進展がもたらす革新と臨床応用の可能性、そして被検者の視点から見た理想的な検査の姿など、多角的に検討を行う予定である。さらに、今後の研究開発の方向性や臨床実装の展望についても触れ、参加者が持つ知見を共有することで、望まれる大腸がん検査体制に向けた具体的な道筋を明らかにしたい。
大腸がんによる死を一人でも減らすこと、そして「誰一人、大腸がんで亡くならない世界」を実現すること。我々医療者に課せられた難題に対し、一筋の光明が見えている。
 
【略歴】
鶴丸 大介
所属:九州大学大学院医学研究院 臨床放射線科学分野(講師)
出身大学:鹿児島大学医学部
主な所属学会・資格:
日本医学放射線学会 放射線診断専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医
日本消化器がん検診学会(大腸CT検査技師認定医員)
日本消化管Virtual Reality学会(理事)
著書:総説17編、英語原著14編
 
森本  毅
2000年3月 聖マリアンナ医科大学卒業
2002年4月 同大学病院放射線科
2006年11月 国立がんセンター中央病院放射線診断部
2008年3月 同大学大学院博士課程修了
2008年4月 同大学放射線医学講座助教
2018年4月 同大学放射線医学講座講師、同附属病院放射線診断・IVR科医長
現在に至る
 
岡本 将輝
信州大学医学部卒、東京大学大学院医学系研究科専門職学位課程及び博士課程修了、英University College London科学修士課程修了。UCL客員研究員、学振特別研究員、東大特任研究員を経て当社創業。他に、米ハーバード大学医学部放射線医学講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授、産業医科大学学長特命補佐などを併任。