セッション詳細

【シンポジウム9】多死社会に伴う公衆衛生上の課題と展望

2025年10月29日(水) 9:30 〜 11:00
第4会場 (1001-2)
座長:高杉 友(近畿大学)
   武藤 剛(北里大学)
指定発言者:鈴木 規道(千葉大学予防医学センター)
      黒須 一見(国立健康危機管理研究機構 国立感染症研究所)
令和5年人口動態統計によると、わが国における日本人の年死亡数は、1947年以降で最少(約67万人)であった1966年以降、上昇の一途をたどっている。2022年には150万人の大台を超え、2023年には157万人と過去最高を記録し、人口千対死亡率も13.0まで上昇してきた。この半世紀、一貫して上昇してきた年死亡数であるが、今後もさらに増加することが見込まれている。死者に対する弔いの形態は、地域や住民の文化、民俗性にきわめて依存するものであるが、死亡数の増加に伴い、わが国の葬儀業の規模や従事人数は今後も増大傾向であることは確実である。多文化共生社会が進み宗教を含めた多様な葬儀形態が広がる一方、葬儀業は届け出承認制度がないことから行政による一元的な管理は難しく、火葬場炉数が固定されたなかでの葬儀の逼迫・安置日数の延長・御遺体ホテルやエンバーミング施設と地域住民の軋轢・引取り先のない御遺体の取扱いについての行政上の手続きの煩雑さ等、様々な公衆衛生上の課題が指摘されてきた。本シンポジウムでは、多死社会を迎えたわが国の葬儀に関する公衆衛生上の課題について、厚生労働科学研究費補助金(令和5-7年度:健康安全・危機管理対策総合研究事業)「安置所等における衛生基準の確立に向けた実証研究」の結果を交えて概観し、課題解決にむけた方向性や法・指針整備について討議したい。

[シンポジウム9-2]多死社会における検案の実際と法医学からの展望

*猪口 剛 (千葉大学大学院医学研究院附属法医学教育研究センター)

[シンポジウム9-3]葬儀社・安置室の室内環境の実態と基準のあり方

*鍵 直樹 (東京科学大学)

[シンポジウム9-4]新型コロナウイルスのパンデミックからの教訓と今後に向けて

*和田 耕治 (国立健康危機管理研究機構)