セッション詳細

【シンポジウム19】データに基づく歯科口腔保健政策をすすめるために:研究と行政的視点から

2025年10月29日(水) 13:00 〜 14:30
第6会場 (908)
座長:田口 円裕(東京歯科大学 歯科医療政策学)
   小栗 智江子(愛知県 保健医療局 健康医務部 健康対策課)
エビデンスやデータに基づき、PDCAサイクルを回す健康政策が求められている。歯科の分野では、小児期の健康格差の是正,高齢者の口腔機能の維持,セルフコントロール困難者への歯科的対応が必要とされており、すべての人々の健康長寿実現のためには,個人をターゲットにした歯科保健施策のみでは不十分であり,公衆衛生的予防施策の実施による環境づくりが必要である。そのためには、我々専門家は、未来を見据えた科学的な歯科保健政策を実践する責務があり、政策についての振り返りを行い、改善につなげるPDCA サイクルを活用し、効果的・効率的な政策の実践が期待されている。
しかしながら、自治体等において、PDCA サイクルに沿った効果的・効率的な保健事業の推進が期待されているが、事業評価のために様々なデータを活用している自治体等は多くない。また、データやその解釈、科学的エビデンスは時代とともに変化するが、他の自治体等で多く採用される施策や前例に準じた施策が実施され、そうした変化を取り入れられない場合も多いのが現状である。今回は、最新の調査事業や先進的なデータ分析、新しい知見を取り入れた施策を4人の演者からご紹介いただき、データに基づいた歯科口腔保健政策の立案・実施に役立つためのシンポジウムを企画した。
 まず、相田先生からはデータとロジックモデルからみた歯科口腔保健政策の具体例と今後の展望を、佐藤先生からは静岡県国保データベースを用いた様々な歯科口腔保健政策のためのデータ分析のご紹介とデータに基づく歯科口腔保健政策の展望を、奥田先生からはタイムスタディによる歯科医療ニーズの把握に加え、国における歯科保健医療に関する動向をお話しいただく。さらに、種村先生からはライフステージごとの特性や社会経済的要因による影響、歯科資源への地理的アクセスの問題、多職種連携の必要性などを踏まえ、静岡県での歯科保健政策への取り組みについてご講演いただく。それぞれが歯科口腔保健を実践している現場にとって非常に有益な内容である。先生方には専門的見地からわかりやすく説明いただき,自治体等において、データに基づく歯科口腔保健政策を実践する上での多くの課題や問題点の解決の一助となることを期待している。

[シンポジウム19-1]静岡県国保データベース(SKDB)を活用した地域の歯科口腔保健課題の可視化と政策展望

*佐藤 洋子 (静岡社会健康医学大学院大学社会健康医学研究科)

[シンポジウム19-2]健康寿命日本一を支える静岡県の歯科保健政策

*種村 崇 (静岡県健康福祉部健康増進課)

[シンポジウム19-3]今後の歯科保健医療施策について~歯科専門職の業務の実態調査等から~

*奥田 章子 (厚生労働省医政局歯科保健課)

[シンポジウム19-4]データとロジックモデルからみる歯科口腔保健政策

*相田 潤 (東京科学大学 大学院医歯学総合研究科 歯科公衆衛生学分野)