セッション詳細

【シンポジウム21】保健所建物の新築・整備=災害時と日常時をシームレスにつなぐグッドプラクティス=

2025年10月29日(水) 16:20 〜 17:50
第6会場 (908)
座長:宮園 将哉(大阪府岸和田保健所)
   原田 昌範(山口県防府保健所/山口県立総合医療センター)
近年、頻発する自然災害や新たな感染症の脅威は、地域公衆衛生の最前線である保健所の役割を再定義しています。大規模災害時において、保健所は地域の健康危機管理拠点となることが期待されますが、そもそも保健所建物は災害時拠点となる条件で設計されていないのが現状です。発電機整備や保健所内備蓄などは実施されているものの、それらの保管場所まで十分に整備されていないといった課題も散見されます。保健所は、平常時の健康増進活動に加え、災害時には健康危機管理の拠点として機能することが不可欠であり、新築や改修、移転の際には、災害時対応と日常業務の継続性を両立させるための多角的な視点が求められています。
 本シンポジウムでは、保健所建物の新築・整備における先進的な取り組み事例を共有し、災害時と日常時をシームレスにつなぐための具体的な方策を探ります。特に、昨今の保健所の新築事例(山口県)と整備事例(高知県)を紹介し、災害時と日常時をシームレスにつなぐ保健所建物とはどのようなものか、について情報共有を行います。池内淳子氏からは、保健所が健康危機管理拠点となるための必要機能と、機能強化策、そして営繕管理者との連携の重要性について建築学の視点からご提示いただきます。山口県防府保健所の市村尚之氏からは、自然災害や健康危機管理を想定した防府保健所の取り組みとして、限られたスペースでのフリーアドレス導入やペーパーレス化による業務継続性強化の事例をご紹介いただきます。小林健治氏からは、保健所の平常時・災害時の活動実態と働きやすさを重ね合わせ、建築学の視点から働きやすさを改善するデザインアイデアについてご考察いただきます。さらに、高知工科大学の木多彩子氏からは、高知県における保健所庁舎整備事例として、災害対応マニュアルや訓練実績、太陽光発電やスターリンク導入など、具体的な災害対策と平常時の空間利用における課題解決の取り組みについてご報告いただきます。
 本シンポジウムは、保健所関係者、行政担当者、建築・都市計画の専門家、そして公衆衛生に関心を持つすべての方々にとって、喫緊の課題である保健所機能の強化と、よりレジリエントな地域社会の構築に向けた実践的な知見を得る貴重な機会となるでしょう。皆様のご参加を心よりお待ちしております。

[シンポジウム21-1]自然災害や健康危機管理を想定した防府保健所の取り組み

*市村 尚之 (山口健康福祉センター防府保健所)

[シンポジウム21-2]高知県の保健所庁舎整備事例

*木多 彩子1、福永 一郎2、小林 健治3、池内 淳子3 (1. 高知工科大学 システム工学群 建築・都市デザイン専攻,2. 高知県 健康政策部,3. 摂南大学 理工学部 建築学科)

[シンポジウム21-3]災害時を想定した保健所庁舎整備

*池内 淳子1、小林 健治1、木多 彩子2 (1. 摂南大学 理工学部建築学科,2. 高知工科大学 システム工学群建築・都市デザイン専攻)

[シンポジウム21-4]災害時を想定した保健所ワークプレイス整備 ー平常時の「働きやすさ」を重ねてー

*小林 健治1、木多 彩子2、池内 淳子1 (1. 摂南大学理工学部建築学科,2. 高知工科大学システム工学群建築・都市デザイン専攻)