セッション詳細
【シンポジウム33】HPVワクチンと接種後症状―安全性についての報道,疫学,裁判の視点からの論点
2025年10月30日(木) 16:30 〜 18:00
第2会場 (交流ホール:6階)
座長:中村 好一(宇都宮市保健所)
柿崎 真沙子(愛知医科大学医学部衛生学講座)
指定発言者:片野田 耕太(国立がん研究センター・がん対策研究所)
柿崎 真沙子(愛知医科大学医学部衛生学講座)
指定発言者:片野田 耕太(国立がん研究センター・がん対策研究所)
ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの安全性の問題は,時間経過も長く,内容も多岐にわたり,非常に複雑になっています.HPVワクチンは2010年に無料化され,広く接種が進みました.しかし一部で重篤な接種後症状が報告されたことを受け,国は接種の積極的勧奨を2013年に一時的に中止しました.その後,2016年には健康被害を訴える薬害訴訟が始まりましたが,そのころの報道では,ワクチンの安全性に関する誤った情報や,副反応に対する過剰な不安を煽るような報道があったとして,批判も受けています.その後,国内外での科学的知見の蓄積と疫学上の安全性の再評価が進み,2021年11月に厚労省専門家会議は全会一致で「勧奨差し控えは終了が妥当」と評価しました.この評価を受けて,国は改めてHPVワクチンの有効性と安全性を認め、2022年4月から積極的勧奨を再開しました.薬害訴訟は現在も進行しており,これまでに,座長の中村を含め,様々な証言がなされてきましたが,2027年2月に結審,判決言い渡しは同年4月の予定となっています.
今回のシンポジウムでは,HPVワクチンと接種後症状をテーマに,報道,疫学,裁判の3つの視点から紐解いていくことを目的とし,それぞれについて,専門的に取り組んでいる演者に登壇願いました.
「報道」は,医療記者の岩永直子氏.読売新聞の医療サイト「yomiDr.」編集長だった2016年以来,HPVワクチンの有効性と安全性について,長く取材を続けています.その取材の発信過程で起きた多くの出来事や,現状の問題点などについて講演します.
「疫学」は,分析疫学を専門とする鈴木貞夫氏.2021年の再勧奨開始の国内屈指のエビデンスとされる「名古屋スタディ」の研究責任者です.名古屋スタディ批判の反科学性と,反対論文の著者と掲載誌JJNSの問題点について講演します.
「裁判」は,ジャーナリストの鈴木エイト氏.数多くの社会問題のうち,HPVワクチン薬害訴訟を重要テーマと位置づけ,裁判の傍聴やその後の記者会見の模様を,広く発信しています.裁判の論点や,今後の展望について講演します.
3人の講演後,国立がん研究センターの片野田耕太氏に論点をまとめていただき,広くフロアからの意見を求め,活発な討論をしたいと考えています.
今回のシンポジウムでは,HPVワクチンと接種後症状をテーマに,報道,疫学,裁判の3つの視点から紐解いていくことを目的とし,それぞれについて,専門的に取り組んでいる演者に登壇願いました.
「報道」は,医療記者の岩永直子氏.読売新聞の医療サイト「yomiDr.」編集長だった2016年以来,HPVワクチンの有効性と安全性について,長く取材を続けています.その取材の発信過程で起きた多くの出来事や,現状の問題点などについて講演します.
「疫学」は,分析疫学を専門とする鈴木貞夫氏.2021年の再勧奨開始の国内屈指のエビデンスとされる「名古屋スタディ」の研究責任者です.名古屋スタディ批判の反科学性と,反対論文の著者と掲載誌JJNSの問題点について講演します.
「裁判」は,ジャーナリストの鈴木エイト氏.数多くの社会問題のうち,HPVワクチン薬害訴訟を重要テーマと位置づけ,裁判の傍聴やその後の記者会見の模様を,広く発信しています.裁判の論点や,今後の展望について講演します.
3人の講演後,国立がん研究センターの片野田耕太氏に論点をまとめていただき,広くフロアからの意見を求め,活発な討論をしたいと考えています.
[シンポジウム33-1]報道の在り方と問題点
*岩永 直子 (フリーランス)
[シンポジウム33-2]HPVワクチンと接種後症状:名古屋スタディの意味するもの
*鈴木 貞夫 (名古屋市立大学大学院医学研究科 公衆衛生学分野)
[シンポジウム33-3]HPVワクチンと接種後症状:薬害裁判の現状と展望
*鈴木 エイト (ジャーナリスト(フリーランス))
