第84回日本公衆衛生学会総会

座長：中野 由美（レセ・スタッフ株式会社）
演者：中野 由美（レセ・スタッフ株式会社）
共催：レセ・スタッフ株式会社

我が国の国民皆保険制度は、国民の健康を支える根幹である一方、医療費の増加と医療資源の偏在が課題となっている。レセプト点検は、医療費適正化に資する重要な手段であり、診療報酬明細書を精査することで、診療の妥当性や請求内容の適正を確認できる。
本研究では、レセプトデータを基に、一人当たりの医療費等をを分析した。これらの指標を通じて、地域間における医療提供体制の差異と課題を明らかにすることを目的とした。
解析の結果、医療費は地域差が顕著であり、病床数の多寡や医療資源の配置が医療費に一定の影響を及ぼしている可能性が示唆された。
以上より、レセプト点検は単なる費用適正化にとどまらず、医療の質や安全性、さらに地域医療のあり方を可視化する有効なツールであると考える。今後は、点検結果を地域医療計画や公衆衛生活動に還元し、持続可能な医療提供体制の構築に活かすことが重要である。
　
【略歴】
1988年　久留米信愛女学院短期大学卒業
2001年　レセ・スタッフ設立
2004年　福岡県老人医療給付専門員とし従事
2008年　レセ・スタッフ株式会社　法人化、現在に至る