セッション詳細
【シンポジウム58】がん生存率の国際共同研究から考える日本の現状とこれからのがん対策、がん医療
2025年10月31日(金) 13:20 〜 14:50
第2会場 (交流ホール:6階)
座長:松田 智大(国立がん研究センターがん対策研究所 がん登録センター)
大木 いずみ(埼玉県立大学 健康開発学科 健康情報学専攻)
指定発言者:西野 善一(日本がん登録協議会(金沢医科大学医学部公衆衛生学))
大木 いずみ(埼玉県立大学 健康開発学科 健康情報学専攻)
指定発言者:西野 善一(日本がん登録協議会(金沢医科大学医学部公衆衛生学))
がん登録はがん患者情報を悉皆的に収集し、罹患率(予防)、診断時病期(早期発見)、生存率(医療水準)等のがん対策指標を、自地域の過去や同時期の他地域と比較して問題点を把握し、がん対策や医療計画を立案、評価する取り組みである。特に世界共通の国際疾病分類(腫瘍学)のコードや定義を用いて、同じ指標で比較ができることからロンドン大学衛生熱帯医学大学院では世界のがん登録情報を収集し、各地域のがん生存率を比較する国際共同研究(CONCORDプログラム)を実施している。その第三次研究(CONCORD-3 study)で参加した71か国322がん登録のうち、日本から参加した16府県のがん登録(宮城、秋田、山形、栃木、群馬、茨城、神奈川、新潟、福井、山梨、愛知、大阪、兵庫、広島、愛媛、佐賀)を一つにまとめたデータでの5年純生存率を報告する。全体の結果は既にThe Lancet誌で報告されたが、我々は日本の結果を改めて精査し考察を行った。
本シンポジウムではCONCORD-3 study を概説した後、特に興味深い結果であった肝臓がん・膵がん、女性がん(子宮頸部、卵巣、乳房)、小児がんの生存率研究から得られた日本のがん対策やがん医療の課題を整理し、今後の改善策を提案する。日本がん登録協議会(JACR)企画のシンポジウムである。
この解析で用いたがん登録は、世界的な精度基準を満たした住民ベースのがん登録(地域がん登録)であり、長期にわたる大規模疫学研究である。対象はその参加地域(府県)のすべてのがん患者の情報を集約したものである。がん登録等の推進に関する法律が施行されたことにより、今後は47都道府県すべてにおいて、がん対策指標が比較可能となり、さらなるがん登録の利活用が期待される。
がん対策はがん医療だけではなく、予防(一次、二次、三次を含む)や保健医療福祉環境を含めた評価や計画が必要となるため、地域を代表するデータの悉皆性や精度が特に重視される。「誰一人取り残さないがん対策を推進し、全ての国民とがんの克服を目指す」がん対策推進基本計画(第4期計画)や都道府県がん対策推進計画においても、重要な結果・考察である。
がん対策を長期的に幅広く包括的に進めていくためにも、本シンポジウムは公衆衛生学会にふさわしく、多くの公衆衛生関係者と共有したい。
本シンポジウムではCONCORD-3 study を概説した後、特に興味深い結果であった肝臓がん・膵がん、女性がん(子宮頸部、卵巣、乳房)、小児がんの生存率研究から得られた日本のがん対策やがん医療の課題を整理し、今後の改善策を提案する。日本がん登録協議会(JACR)企画のシンポジウムである。
この解析で用いたがん登録は、世界的な精度基準を満たした住民ベースのがん登録(地域がん登録)であり、長期にわたる大規模疫学研究である。対象はその参加地域(府県)のすべてのがん患者の情報を集約したものである。がん登録等の推進に関する法律が施行されたことにより、今後は47都道府県すべてにおいて、がん対策指標が比較可能となり、さらなるがん登録の利活用が期待される。
がん対策はがん医療だけではなく、予防(一次、二次、三次を含む)や保健医療福祉環境を含めた評価や計画が必要となるため、地域を代表するデータの悉皆性や精度が特に重視される。「誰一人取り残さないがん対策を推進し、全ての国民とがんの克服を目指す」がん対策推進基本計画(第4期計画)や都道府県がん対策推進計画においても、重要な結果・考察である。
がん対策を長期的に幅広く包括的に進めていくためにも、本シンポジウムは公衆衛生学会にふさわしく、多くの公衆衛生関係者と共有したい。
[シンポジウム58-1]がん生存率の国際共同研究CONCORD-3 Studyの概要とがん登録データを用いた国際共同研究の今後の課題
*杉山 裕美 (放射線影響研究所疫学部)
[シンポジウム58-2]日本における膵臓がんと肝臓がんの純生存率の推移と国際連携への示唆
*西尾 麻里沙1,2 (1. 国立がん研究センター がん対策研究所予防研究部,2. 大阪医科薬科大学 医学部 医療統計学研究室)
[シンポジウム58-3]日本における女性に特有のがんの純生存率の推移とがん対策への示唆
*渡邉 要1,2 (1. 神奈川県立がんセンター臨床研究所 がん予防・情報学部,2. 神奈川県立保健福祉大学イノベーション政策研究センター)
[シンポジウム58-4]小児がん生存率の国際比較から考える日本の小児がん医療における今後の課題
*中田 佳世 (大阪国際がんセンター がん対策センター 政策情報部)
