セッション詳細

【シンポジウム68】保健行政が地域と協働し進めるプレコンセプションケア~母子・思春期保健、感染症対策等を活用した事例~

2025年10月31日(金) 10:50 〜 12:20
第5会場 (1001-1)
座長:中澤 智(神奈川県横浜市 泉区こども家庭支援課)
   児玉 知子(国立保健医療科学院)
現在、保健行政において、プレコンセプションケアの取組みが急務とされています。WHO(世界保健機関)はプレコンセプションケアを「妊娠前の女性とカップルに医学的・行動学的・社会的な保健介入を行うこと」と定義していますが、この中で妊娠に至るまでの段階にある時期、特に思春期におけるアプローチの重要性についても言及しています。この時期は性行為の開始に加え、生活習慣病や薬物使用など複数の健康リスク行動が始まる時期であり、生涯の健康に影響を及ぼす可能性があるため、若年層が自ら健康を管理する意識を持つことが求められます。
 日本では乳児・妊産婦死亡率が世界的に低く、周産期医療も充実していますが、低出生体重児や先天異常の出生割合が先進国の中でも高いという課題があります。背景には、女性の栄養(極度のやせ・肥満、葉酸不足)、感染症(風疹、梅毒など)、喫煙、飲酒、糖尿病などのリスク要因が指摘されています。高齢出産や不妊に悩む人が増える一方で、予期せぬ妊娠への対応や性感染症の予防・治療なども依然として重要な課題です。このような中、若い世代のカップルが、将来、より健康な妊娠・出産の機会を得られること、そして生まれてくる子どもたちが健やかに成長できることを実現するために、今、何ができるでしょうか。
 現在、市町村では、不妊や予期せぬ妊娠、性感染症などへの相談支援、そして妊娠・出産・産後にかけての健康管理支援の充実が求められています。そのため、妊娠期から成人期までを一貫して支援するワンストップ相談体制の整備が進められており、都道府県には広域的な調整役としての役割が期待されています。こうした保健行政の取り組みを効果的に進めるには、若者本人だけでなく、その家庭や地域、教育・医療現場、職場など、多様な関係者が垣根を越えて連携し、共通理解を持つことが重要です。
 本シンポジウムでは、これまで子どもたちの「こころ・からだ・性」の教育を、現場や教育者とともに実践してきた保健師による報告に加え、プレコンセプションケアを取り入れた自治体における各部署間の連携や支援の実際、さらに産婦人科医療の現場から見た課題について取り上げます。各シンポジストの発表をもとに、会場の皆さまと議論を深めてまいりたいと思います。

[シンポジウム68-1]保健行政・学校・地域と協働し進めてきたプレコンセプションケアの実際

*渡會 睦子1,2,3 (1. 東京医療保健大学 医療保健学部,2. 東京医療保健大学 地域健康づくり研究・教育センター,3. 一般社団法人 住民とともに活動する保健師の会)

[シンポジウム68-2]乳幼児期から行う性教育とプレコンセプションケア

*佐藤 沙也果 (仙台市健康福祉局保険高齢部介護事業支援課(仙台市泉区保健福祉センター管理課))

[シンポジウム68-4]福島県におけるプレコンセプションケアの取り組みについて

*本多 つよし (いわき市医療センター)