セッション詳細

【シンポジウム76】精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの展望~ひきこもり・自殺・依存症対策から

2025年10月31日(金) 14:50 〜 16:20
第7会場 (映像ホール:2階)
座長:辻本 哲士(滋賀県立精神保健福祉センター)
   伊東 千絵子(奈良県精神保健福祉センター)
指定発言者:辻本 哲士(滋賀県立精神保健福祉センター)
現代社会における公衆衛生の課題は、身体的な健康問題にとどまらず、多様化する心の健康問題へと広がっている。令和4年に改正された精神保健福祉法第46条において、都道府県及び市町村が実施する精神保健福祉に関する相談支援について、精神障害者のほか精神保健に課題を抱える者も対象にできるようにするとともに、これらの者の心身の状態に応じた適切な支援の包括的な確保を旨とすることが規定された。精神障害者等をより身近な地域できめ細かく支援するためには、市町村が相談支援等の取組をこれまで以上に積極的に担うことが求められる。精神保健福祉センターは、市町村及び市町村を支援する保健所と協働し、精神障害者等のニーズや地域の課題を把握した上で、障害保健福祉圏域等の単位で、精神保健医療福祉に関する重層的な連携による支援体制の構築に向け、各業務を総合的に推進する役割を担う。
 精神障害にも対応した地域包括ケアシステムを構築するうえで、地域住民が直面するひきこもり、自殺、依存症といった複合的な課題への公衆衛生的アプローチが喫緊の課題となっている。これらの問題は、単一の要因で発生することは稀であり、個人の心理社会的要因、家族関係、地域社会の構造、そして社会経済状況などが複雑に絡み合い、互いに影響し合っている。当事者のQOL低下だけでなく、家族の負担増大、地域社会の活気喪失、医療費増大など、多岐にわたる負の連鎖を引き起こしかねない。
 本シンポジウムでは、国が推進する「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」の概念を基盤としつつ、公衆衛生学の視点から、ひきこもり、自殺、依存症といった喫緊の課題に対し、地域社会がいかに効果的に介入し、予防から回復支援までを切れ目なく提供できるかを議論する。当事者・家族の視点を重視し、彼らが地域で孤立することなく、尊厳を持って生活できる社会の実現に向けた、具体的な戦略と実践例を提示することを目的とする。

[シンポジウム76-1]「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム(にも包括)」の理念と体制構築に向けた取り組みについて

*伊東 千絵子1、野口 正行2 (1. 奈良県精神保健福祉センター,2. 岡山県精神保健福祉センター)

[シンポジウム76-3]自殺ハイリスク者に対する包括的支援について

*二宮 貴至 (浜松市精神保健福祉センター)

[シンポジウム76-4]精神障害にも対応した地域包括ケアシステム(依存症:特に薬物依存症に関連して)

*藤城 聡 (愛知県精神保健福祉センター)