講演特集の案内
講演特集
1.各種粉末の焼結技術および焼結機構の新たな展開
(Research Advances in Sintering Technology and Sintering Mechanism of Powders)
本特集では,最近注目を浴びている3次元粉末積層焼結造形法に加え,パルス通電加熱やミリ波・マイクロ波加熱などの新しい焼結法について意見交換するとともに,粉末押出し法などの加圧焼結および従来の固相焼結,液相焼結について粉体粒子の焼結メカニズムの理解を踏まえた焼結技術の現状と将来を展望することを企画します.各種粉末の焼結技術は,自動車を始めとする精密機械部品の製造に対して基本的にますます重要となっています.雰囲気や加熱条件,熱源の操作条件,電磁場などの諸条件の影響,微量添加元素による焼結の促進効果,また,粒子間結合ネックサイズレベルの構造制御が材料機能特性に直接関わってくるため,基礎的な実験的・理論的研究,さらには新しい焼結法の提案なども含め,焼結技術に関連した講演を広く募集します.
2.磁性材料・磁気デバイスにおける微細構造制御と機能発現
(Control and Manipulation of Microstructure in Magnetic Materials for Functional Devices)
本特集では,ハード磁性,ソフト磁性等の様々な材料について,バルク,薄膜,微粒子等の形態を問わず,材料の磁気特性や応用先における機能と微細構造を結び付けて議論する多くの研究を紹介してきました.永久磁石用ハード磁性材料,パワーエレクトロニクスのためのソフト磁性材料では,新規材料設計や新規作製プロセスについて注目し,合金系磁性体からフェライトまで幅広く募集いたします.これらは持続可能でスマートな人に優しい社会を実現する上で必要であり,パワーエレクトロニクスにおいて不可欠の材料・デバイスで,日本が世界をリードする重要なものとなっています.また,通信技術の進展に伴う高周波対応材料・デバイスについても重要性がますます認識され,講演が増えております.さらに,磁性材料の応用範囲を拡大することが期待されるバイオや環境分野などについても,材料,デバイスの提案を含め、新しい話題提供の場となるようなセッションを構成したいと考えています.特に,最近では希土類などの原料サプライチェーン強化や環境負荷低減の観点から磁性部材のサーキュラーエコノミーも注目すべき課題となっています.これらの幅広い磁気に関する講演について,産官学の多様な参加者が一堂に会して討論する場となることを期待して,多くの皆様の講演申込をお待ちしています.また、会場においでいただき、奮ってセッションにご参加ください.
3.金属ガラス・ナノ結晶材料・高エントロピー合金の基礎と応用に関する新展開
(共催:日本材料学会金属ガラス部門委員会)
(Fundamentals and Applications of Metallic Glasses, Nano-crystalline Materials and High Entropy Alloys)
金属ガラス・ナノ結晶材料・高エントロピー合金は20世紀後半以降,急激に注目度を集めている新たな金属材料分野であり, 我が国もそれらの学術的発展・研究開発に大きく貢献してきた経緯があります. これら3つの金属材料群はいずれも従来合金と比べて多くの卓越した機械的・物理的特性を示すことが知られています. 構造に結晶・非結晶の違いはあるものの, 主に多成分系であり, また材料作製や設計においてもお互いに多くの共通点があります. 従ってこれら新規金属材料群を1つのセッションで取り上げることで,それぞれの材料に対する相互の理解や得られた知見の共有による新材料・機能創出に繋がる有益な機会になるものと考えられます.
本特集では,金属ガラス・ナノ結晶材料・高エントロピー合金に関する基礎から応用に至るまでの幅広い内容の講演を広く募集します.(1)構造,(2)相安定性,熱的特性,(3)計算材料科学予測,(4)力学特性, 変形・破壊,(5)磁気的性質,(6)化学的性質,(7)粉末冶金,(8)接合,(9)凝固,(10)融体加工,(11)機能特性などを対象として, 多くの方々のご発表, ご参加をお待ちしております.
4.光機能材料の基礎と応用
(Fundamentals and Applications of Optical Functional Materials)
物質と光の相互作用は微視的・巨視的観点から基礎的に興味深い現象を提供してきました.また,応用の視点から重要な多くの光機能材料が創出されてきました.蛍光体やレーザーなどの光源,光ファイバーや導波路などの情報伝達材料,光信号を制御する光変調素子,光を受信し感知する光検出器,情報を蓄積する光記録媒体など,その用途は広く,産業や医療を根幹から支える重要な材料・デバイスとして認識されています.最近では,ナノ構造を持つ金属や誘電体と光の相互作用が注目され,プラズモニクスやメタ光学といった分野が開拓されています.このような光機能材料の基礎と応用にかかわる研究・開発に関する情報交換を行う目的で,講演特集として光機能材料の基礎と応用を設けました.物質の基礎的な光物性,優れた光機能発現のための材料プロセスと特性評価,デバイスとしての応用など,さまざまな観点からの講演を募集します.奮ってご参加下さい.
5.遷移金属(希土類)材料における物性化学の新展開
(New Developments in Solid State Physics and Chemistry of Transition Metal (Rare Earth) Compounds)
物質・材料科学の基礎研究および産業応用に向けた実用研究において,新しい機能をもった材料を提供することは,これらの分野の新しい発展に向けて大変重要です.特に遷移金属(希土類)材料は,強相関電子系材料,量子スピン系材料,熱電変換材料,磁気冷凍材料など,これまでも多くの材料開発がなされてきましたが,未開拓の物質群も非常に多く残っています.磁性体という1分野に限っても,現在のEVやエネルギーデバイスを支えるNd-Fe-B系希土類化合物材料は,数十年前の基礎的な物質・材料科学に端を発した研究が実用にまで至った典型例であり,更なる機能やより高い性能を有する材料の研究を展開が,今後益々重要になると考えられます. そこで本特集では,上記様々な分野をさらに切り開く,新規遷移金属(希土類)材料における物性化学の新たな展開について特集テーマとし,講演いただくことを予定しています.遷移金属化合物を中心に新物質・新材料の合成手法や材料・物性評価手法を含めて,さまざまな観点からの研究を広く募集します.
6.PM材料におけるカーボンニュートラル
(Carbon Neutrality in PM Materials)
日本のみならず世界的にも異常気象が報じられる中で,地球温暖化の影響が強く示唆されています.地球温暖化は主にCO2の排出と密接に関連しているため,様々な分野でカーボンニュートラル(CN)への取り組みが行われているところです.粉末冶金分野においてもCNに対応する考え方や技術が必要になります. 本特集では,粉末冶金材料(PM材料)におけるカーボンニュートラル(CN)の取り組みについて講演を募集します.CNは広い概念ですので,例えば,自動車や空モビリティなどの電動化に関連する部品や製品(機械部品のみならず磁性材料など)への取り組みや,省エネルギーで圧粉成形や焼結技術,それらによる材料が考えられます.また,CO2の吸着や改質へのPM材料の取り組み,リサイクルやサーキュラーエコノミーなどもスコープに入ります.幅広い分野・視点からの話題提供を歓迎します.広く知ってもらって広く使われる事が重要な取り組みですので,皆様のご参加をお願いします.
7.粉末製造技術とその応用
(Powder Manufacturing Technology and Its Application)
粉末製造技術は粉末冶金を始めとする粉末利用産業の基盤となる技術です.本特集は,金属粉からセラミックス粉,さらにはそれらの複合粉に至る幅広い種類の粉末の製造技術と,それらの粉末の応用に関して幅広く議論することを目的としています. 粉末製造技術には,アトマイズ法,粉砕法,電解法あるいは化学還元法等の製造技術は勿論のこと,粉末の物理的あるいは化学的特性の改善を目的とした混合や表面処理など種々の二次加工技術も含まれます.製造された粉末の応用につきましても,粉末をそのまま使う用途,圧粉体としての用途,焼結原料としての用途に加え,最近注目を集めている積層造形用等も含め,あらゆる形態が議論の対象です.さらに,機械部品だけでなく磁性材料や電子部品等の機能材料に至る幅広い分野への応用や,それらの技術によるカーボンニュートラルやサステナブルな社会実現への貢献についても議論したいと考えております.皆様からの積極的な参加を期待します.