講演情報

[P5-04]基礎疾患を背景に骨関節疾患を繰り返し受傷し,移動手段の選定に難渋した一例

*桑名 岳1 (1. 江東リハビリテーション病院)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

訪問リハビリテーション、移動手段、多職種連携

【はじめに】地域リハビリテーションにおいて,移動手段の決定は生活範囲および質に影響を与える因子である.本人の意向,セラピストの経験,環境因子が重なり合い,一側面的な提案は外出行動の制限を招く.本報告は,くる病により骨折を繰り返し,セラピストの提案と本人の希望の乖離から移動手段の選択に難渋したが,生活背景の変化を機に安全な買い物動作の獲得に至った症例を報告する.【症例紹介】症例は大腿骨近位部骨折及び両変形性膝関節症に対し3年間で計5回手術を施行した70代女性である.病前は2世帯住宅に夫と同居しており,家事動作・買い物動作が自立していた.既往歴のくる病に対して積極的な治療介入はなく,在宅生活を送っていた.右膝関節の疼痛により起立・歩行が困難となり救急搬送,大腿骨近位部骨折の診断で34病日目に回復期病院の入院を経由し,要介護3の認定を受け118病日目に自宅退院,訪問リハビリテーション(訪問リハ)を開始した.【訪問リハを開始した経緯】訪問リハ開始時,関節可動域(右/左)股関節屈曲105° / 115°,股関節伸展20° / -15°,膝関節屈曲115° / 120°,膝関節伸展-15° / -10°,大腿脛骨角度185° / 180°と著明な制限・変形を認めた.自宅内移動は杖を使用して自立,階段動作は手すりを使用して自立だった.屋外移動はサイドキャリーを使用して自立していたが,自宅から600 m先の食料品店までの移動時間に片道40分を要し,購入作業動作と併せて2時間を要し,終了後,両膝関節周囲にNRS6の疼痛が出現した.本人の希望は歩行にて購入作業動作を継続することであり,骨関節疾患の再発リスクは高かった.【介入内容と結果】712病日目,食料品店までの移動手段は自力歩行に固執しており,他者依存に対して拒否感を示していると仮説を立てた.病前,食料品店まで付き添っていた夫が車を使用した移動手段を提案し,食料品店内の移動は歩行で購入作業動作が実施できた.1078病日目,夫の体調悪化に伴う運転免許返納により,外出する代替手段を再検討した.食料品店内の移動を歩行で継続していたことで両膝関節周囲,腰部の疼痛が継続していた.他者依存することなく,身体的負荷を軽減する手段としてシニアカーを提案した.車両の処分により保管場所が確保されていたこともあり,本人の合意を得ることができシニアカーを使用した移動および購入作業動作が自立できた.【考察】家族状況の変化という環境因子を捉え,単なる機能改善に留まらず,環境変化に応じた柔軟な目標設定による環境調整が不可欠であることが示唆された.本質的に価値を感じ満たされた状態には目標の重要性だけでなく,達成度も影響するため,個々の対象者の目標設定の阻害要因を理解するための病態評価が重要であったと考えられる.【倫理的配慮,説明と同意】 本報告について,本人へ口頭にて十分な説明を行い,同意を得た.

コメント

コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン