講演情報

[P5-05]胸椎黄色靱帯骨化症術後,身体機能の受容を契機に目標を再設定した一症例

*白井 百花1、大橋 亮介1、大野 智貴1、若林 敏行2 (1. 医療法人社団凛生会 目白整形外科内科 リハビリテーション科、2. 医療法人社団凛生会 目白整形外科内科)
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キーワード:

他職種連携、目標再設定、社会参加

【はじめに、目的】
理学療法士には身体機能の回復を促すだけでなく,患者が直面する機能低下に対し新たな生活の価値を見出す役割が求められる.本症例は「自立歩行と公共交通機関を用いた外出」に強くこだわっていたが,機能低下により目標との乖離が生じていた.本報告の目的は,身体機能の受容を契機に目標を再設定し,尺八演奏による社会参加の継続に至った過程を提示し,患者の価値観に寄り添った支援の重要性を考察することである.
【症例紹介、評価結果と問題点】
70歳代男性,尺八師範,X年2月訪問リハビリテーション(以下,訪問リハ)を開始した.X-13年に下肢筋力低下に対しT10/11,L1/2後方除圧術を施行.X年7月に蜂窩織炎で約1ヶ月入院し,退院後は廃用により歩行が不安定となり頻回に転倒していた.当初の目標は「駅まで歩き(最寄り駅まで徒歩30分),公共交通機関で外出する」であった.訪問リハ開始時,杖を使用し連続歩行時間は約10分,TUGはX年10月37.6秒からX+1年には55.0秒へ低下し,目標と身体機能に乖離を認めた.また,尺八演奏時は座位保持による右膝関節痛があり,体幹機能低下に伴う胸椎伸展位の保持困難から,長時間の演奏に支障をきたしていた.
【介入内容と結果】
当初は本人の希望に沿い屋外歩行を中心に実施した.X+2年,駅までの歩行時に復路で強い疲労を認め,重介助を要した.この経験が身体機能の低下を受容する契機となり,本人より「周囲に迷惑をかけず,尺八演奏を継続する」という目標再設定が提案された.これを受け,ケアマネジャーや福祉用具専門相談員らと多職種カンファレンスを開催し方針を共有,以降は尺八演奏のための体幹安定性向上や胸椎伸展運動,セルフエクササイズの定着を重点的に図った.その結果,座位保持が安定し,当初は課題であった20分以上の尺八演奏活動が継続可能となった.
【考察】
屋外歩行での実体験が身体機能低下の受容を促した.自身の目標と身体機能の不一致が意欲低下の一因であったが,多職種で本人の社会的役割に着目し,目標を再設定したことが訪問リハの動機付けと役割の継続に寄与した.理学療法士には,患者の価値観に寄り添い,機能を適切に評価した上で目標を擦り合わせる役割の重要性が示唆された.今後は電動車椅子の導入等,活動性維持への検討が必要である.
【倫理的配慮、説明と同意】
本症例報告にあたり,対象者に対して口頭および書面にて研究の目的と内容,個人情報の保護について説明し,発表に関する同意を得た.

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