講演情報

[P5-06]誤認識により運動を回避していた変形性膝関節症患者に対して共有意思決定を用いた関わりが有効であった一例

*佐々木 俊輔1、城所 大樹1 (1. 鶴巻温泉病院 リハビリテーション部)
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キーワード:

変形性膝関節症、共有意思決定、行動変容

③症例報告
【はじめに、目的】
変形性膝関節症(膝OA)は,疼痛に加えて筋力低下を生じ日常生活動作に支障を来す.リハビリテーションでは,運動指導や患者教育が推奨されており,心理的要因を改善する戦略が有用であるとされている.今回,膝関節痛の対応として安静が必要であると認識していた両膝OA患者に対し,訪問リハビリテーション(訪問リハ)における共有意思決定の技法を活用した面談を行った結果,運動に対する認識が変容し自主練習が定着した.本報告の目的は,本症例に対する介入経過を報告し共有意思決定を活用した面談の有用性について考察することである.
【症例紹介、評価結果と問題点】
症例は両膝OAを呈した70歳代女性である.X日から,野菜無人直売所への外出獲得を目的として訪問リハを開始した.訪問リハ時には,運動による膝関節への負担を懸念しており,荷重を伴う運動や疼痛管理を目的とした自主練習の提案に対して消極的であった.そのため自主練習の実施には至らず,必要な外出以外は自宅で安静に過ごすことが多かった.X+32ヶ月時の理学療法評価は,Japanese knee osteoarthritis measure(JKOM):104点,関節可動域(ROM):膝屈曲右90度,左85度,伸展右-15度,左-45度,5回立ち上がりテスト:15秒97,Functional Balance Scale(FBS):48点,Pain Catastrophizing Scale(PCS):40点であった.
【介入内容と結果】
理学療法は週1回の頻度で60分/回を実施した.介入は,共有意思決定の技法である3段階モデルに準じた面談を導入した.第1段階は,膝関節痛により活動量が低下している現状や生活状況を振り返り,本症例が抱く運動への不安や外出を行いたいという希望を聴取した.第2段階は,膝OAの病態や理学療法ガイドラインで推奨される運動療法の有用性について情報共有を行い,安静に伴うリスクと運動のメリットを共有した.対話を通じて,本症例が自ら「痛みの管理には適切な運動が必要である」と納得した段階で,第3段階は,具体的な自主練習内容を検討した.最終的にペダルトレーナーを用いた自主練習(10分/回)を3回/週実施すること,及び実施状況を活動日誌を用いて振り返ることを共同で決定した.X+36ヶ月後,JKOM:100点,ROM:膝屈曲右95度,左100度,伸展右-10度,左-15度,5回立ち上がりテスト:13秒06,FBS:49点,PCS:13点となった.自主練習には4回/週取り組むことができるようになった.
【考察】
面談を通して,病態の誤認識の修正により運動療法の重要性が再認識されたこと,自らが自主練習内容を選択するプロセスが主体的な行動変容を促した可能性がある.加えて,活動日誌を用いた振り返りが病態の理解を深めることに寄与したと考えられる.
【倫理的配慮、説明と同意】
当院臨床研究倫理審査小委員会の承認を得た(承認番号650号).承認後に対象者へ説明を行い,同意を書面にて取得した.

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