講演情報

[P5-09]活動・参加の拡大によって新たな生きがいを創出した症例

*甲斐 江美1 (1. 北九州中央病院 リハビリテーション科)
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キーワード:

活動・参加、促進因子、生きがい

【はじめに】
受傷により主婦という生きがいが無くなった喪失感から障害受容が長期化した。退院後は在宅での介護サービスから開始し、活動・参加が拡大した症例を担当したので報告する。
【症例紹介】
疾患名:左視床出血・右片麻痺
現病歴:家事中に右半身麻痺・呂律不良を認め、A病院へ救急搬送される。上記診断後、当院回復期病棟での半年間のリハビリ加療後に自宅退院。
病前生活:夫と二人暮らし・持ち家。近くに息子家族在住。孫に食事を作ったり、ボランティアに参加していた。明るく前向きな性格。
介護度:要介護3。退院時は、訪問リハ4日/週、訪問看護1日/週の利用。現在は訪問リハ2日/週、訪問看護1日/週、特化型デイ3日/週を利用。
【評価結果と問題点】
心身機能は、BRS(Rt):Ⅲ-Ⅲ-Ⅲ。病状に対する焦燥感や喪失感が強く、家庭内役割の変化に対して受容できず、落ち込むことが多かった。活動・参加は、FIM104点(運73点)、屋内移動はAFO+T杖見守り、屋外は車椅子介助であった。調理などの家事動作は行えず、「対人関係」も家族のみに限局されていた。「環境因子」は、訪問サービスの利用と夫・息子家族が促進因子であった。問題点として、焦燥感や喪失感などが活動・参加を制約していると考えた。
【介入内容と結果】
「誰かそばにいないと料理もできないでしょ」と否定的な反応があった。片手でも作業できる調理器具を提案し、調理動作訓練を行った。その結果、家族に料理を振舞うことが出来、「魚を三枚におろしたい」「次は掃除と洗濯したい」と自発的な目標が聞かれるようになった。掃除についても同様に、動作訓練・環境設定を行い、参加における「家庭生活」の拡大が図れた。さらに、屋外階段昇降の恐怖感軽減のためQ杖に変更し、家族との外出機会を創出した。最終的には、活動・参加では、屋内は日中AFO+Q杖自立・夜間は伝い歩き自立となった。調理や掃除は夫協力のもと継続出来ている。また、「対人関係」が家族だけの関りから友人まで広がり、週1回の外出も楽しまれている。
【考察】
本症例は「主婦」としての役割を無くした喪失感や障害受容にも苦悩し、心理的要因が引き金となって活動・参加が制約されていた。経年的に活動・参加が拡大した要因として以下のことが考えられる。まず、参加による「家庭生活」の拡大に対して、訪問リハビリで症例のニーズに合わせて即座に対応したことが要因となって心理的変化に繋がった。そして、「家庭生活」による心理的変化と、家族・友人らの人的環境による促進要因が「対人関係」の拡大にも影響を与えたと考える。訪問リハビリにおいて、活動・参加の拡大を創出することは、利用者様が新たな目標や生きがいを見出すきっかけとなることを再確認した。

【倫理的配慮、説明と同意】
発表にあたり、症例本人と家族及び所属する施設長の同意を得ている。また、個人情報・秘密保持について配慮を行っている。

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