実行委員長挨拶 Organizing Committee Chair’s Message
第31回 地下水・土壌汚染とその防止対策に関する研究集会開催にあたって

(公益社団法人 日本地下水学会)
中川 啓
長崎大学 総合生産科学域 教授
地下水・土壌汚染とその防止対策に関する研究集会は、1991年の第1回開催以来、産学官の研究者・実務者が一堂に会し、わが国の地下水・土壌環境分野の発展に大きく貢献してまいりました。この30余年の間に、環境基準や法制度の整備が進み、汚染の調査・修復・管理に関する研究や技術も著しく進展しています。こうした成果は、基礎から実務にわたる幅広い知の蓄積によって支えられてきたものです。近年では、気候変動に伴う水循環の変化やPFASなどの新規汚染化学物質への対応など、科学的知見と社会的課題の融合が求められています。
エネルギー転換や資源循環など社会の構造変化が進むなかで、地下水や土壌は「見えないインフラ」としてその重要性を増しています。汚染対策の対象であると同時に、水資源や生態系、防災・減災にも深く関わる存在として、その保全と活用を総合的に考えることが求められています。データサイエンスやAIによる解析など新たな技術の導入も進み、環境管理のあり方が変わりつつある今こそ、科学と社会をつなぐ知の交流が重要と考えられます。
このような節目に、歴史と交流の地・長崎で本研究集会を開催できることは大きな意義を有します。長崎は、江戸時代、鎖国下の日本において世界に開かれた唯一の窓口として、海外から多くの知識や技術を受け入れ、日本の近代化を支えてきました。異なる文化や思想が交わることで新たな知が生まれる−長崎はまさにその象徴といえるでしょう。本研究集会においても、多様な立場や専門分野が交わり、新たな発想と連携が生まれることを期待しています。
本研究集会は、日本地下水学会、日本水環境学会、廃棄物資源循環学会、地盤工学会、および土壌環境センターの共催により、2026年6月25日・26日、長崎市にて開催いたします。ご後援を賜る関係団体ならびに開催自治体に厚く御礼申し上げますとともに、事務局をご担当いただく土壌環境センターおよび幹事会の皆様のご尽力に深く感謝申し上げます。多くの皆様のご参加を心よりお待ちしております。
