第15回環境放射能除染研究発表会

実行委員長・理事長・会長あいさつ

8年ぶりの関東開催、環境再生は全国展開へ

 

環境放射能除染学会理事長 大迫 政浩

(国立環境研究所)

 第15回環境放射能除染学会研究発表会は、第7回東京開催以来の8年ぶりの関東での開催になります。また、会場はつくば市の産業技術総合研究所(産総研)をお借りできることになりました。つくば市は、私が所属する国立環境研究所をはじめ、国や民間の研究所が多く所在する日本を代表する学術研究都市であり、日本の英知が集まっている場所になります。ホストとなっていただいた産総研の保高実行委員長をはじめ関係するスタッフの方々に心から感謝する次第です。

 今大会の全体テーマは、「環境再生の未来ビジョン-福島から全国への新展開」、東日本大震災に伴う原発事故から約15年半が経過し、環境再生への取組みは、いよいよ全国への新たな展開のステージに入ります。昨年度8月に、今後の除去土壌等の県外最終処分や再生利用に向けたロードマップが国から示され、当面5年間に取り組むべき課題が明示されました。今後を見通すとき、2045年3月までに県外最終処分を完了することはもちろん最終的なゴールですが、そのときにどのような社会のあり様の下で実現しているかがさらに大切だと思っています。この問題は、原発に向き合う日本社会、そして国民全体で受け止めて熟議を通して答えを出すべきものであり、社会合意形成をもとに解決しなければなりません。そして、そのプロセスを通して実現する成熟した社会こそが私たちが目指すべき持続可能な未来ビジョンなのではないでしょうか。今回の研究発表会では、参加者の皆さんとともに、そのことを一緒に考える機会に是非したいと思っています。

 例年通りの一般口頭発表、ポスター発表、企画展示に加えて、上記のコンセプトでの特別セッションやJESCO共催の知のネットワークなど魅力ある企画が満載です。大いに期待していただければと思います。施設見学では福島第一原発の見学コースを設定しており、少し遠方になりますが常磐道を使ってスムーズに実施できると思います。是非奮ってご参加ください。

つくば市には宇宙開発で有名なJAXAなど施設見学として見どころも多く、研究発表会後は後泊して学研都市の様々な科学技術の最先端に触れていただく機会にしていただければと思います。参加者の皆さんと相互交流を図り、これからの未来ビジョンについて一緒に語り合いましょう。ご参加をお待ちしております。

福島から全国への新展開

 

環境放射能除染学会会長 佐藤 理夫

(福島大学 名誉教授)

 環境放射能除染研究発表会は、東京都内で3回、新型コロナウイルスのためにオンラインで2回開催した他は、福島県内で開催しておりました。第15回となります今回は、久しぶりに福島県を離れて、つくば市で開催いたします。

 本学会は福島第一原子力発電所事故によって生じた放射性物質による環境汚染に対応するため2011年11月に発足し、2012年5月に第1回の研究発表会を福島市で開催しております。環境中の放射能を専門とする方は少なく、発足当時は全てが手探りでありました。しかしながら、大きな課題が存在している以上、前進するしかありません。研究発表会等を通じて様々な分野の方が集まり、情報を交換して人脈を広げていったことが、その後の除染活動・中間貯蔵・環境回復に大きく貢献してきたと思っております。

 帰還困難区域を除くと除染はほぼ完了し、除去土壌等は中間貯蔵施設に保管されています。除去土壌等は2045年までに福島県外で最終処分することが法律で定められており、昨年にはロードマップが国から示されました。減容化・再生利用・最終処分地選定等、技術的・社会的な課題は数多く残されています。残された課題の多くは全国的な課題であると私は認識しており、主に福島県内にあった「汚染された生活圏」を回復するフェーズから「原発事故後のあるべき国の姿」を描くフェーズへと、主たるテーマが展開していく時期だと考えております。

 つくば市は首都圏からのアクセスが良く、多くの研究機関が集まる地です。本学会が取り組む課題に関心をお持ちの方が、より多く参加してくださいますことを願っております。福島県内で研究発表会を開催した時には、「ふくしまの美味しいお酒と食事を楽しんで」・「温泉を楽しんで」・「是非、たくさんお土産を」とアピールしていました。このアピールが第15回ではできないことが残念ではありますが、研究発表会に関わらず福島県に足を運んでいただけますと幸いです。福島県内の観光地や震災遺構などのおすすめポイントをこっそりお伝えできるように準備して、会場でお待ちしています。