講演情報
[P030B [発表後半]]可溶性陽極として低炭素鋼板を用いてアップグレードリサイクルされた超高強度Fe-Ni合金膜の電解合成
○福島 遼大1[修士課程]、後藤 千聖1、林田 将充1、赤嶺 大志1、大貝 猛1 (1. 長崎大学)
キーワード:
電解合成、Fe-Ni合金、アップグレードリサイクル、可溶性陽極、低炭素鋼板
持続可能な社会の実現に向け、自動車鋼板などのスクラップ材を用いた鉄鋼資源の高付加価値なリサイクル技術が求められている。本研究は、汎用的な防錆処理低炭素鋼板(SS400)をスクラップ材と見立てて可溶性陽極材として利用し、次世代EVモーター等に不可欠な極薄・超高強度Fe-Ni合金を電剝剥離法で再現性良く作製するプロセスを確立することを目的とした。連続電解における陽極の経時変化を追求した結果、初期の亜鉛溶出による電流効率の低下と、後期の不純物(アノードスライム)蓄積に伴う表面の粗さの増大、合金組成の変化のメカニズムを解明した。これらを回避する条件として、電流密度の最適化に着目した。各試験条件下での電流密度の最適化を行うことで、異常共析を制御し、Ni 50 at.%付近でのfcc単相組織の形成を可能とした。結果として、平滑な表面による応力集中の抑制とNiの固溶強化が相乗的に働き、最大引張強度2913 MPaという極めて優れた機械的特性を達成した。本成果は安価な鉄鋼スクラップから2 GPa超級の次世代素材を安定的に生み出す画期的なアップサイクル技術として。社会実装への高いポテンシャルを示すと考える。
