講演情報

[P062C [発表後半]]生物的処理導入に向けたA鉱山酸性坑廃水中の鉄酸化細菌の生理・生態の調査

○伊藤 裕基1[修士課程]、中村 碧1、濱井 昂弥2、奥山 晃浩2、荻野 激2、淵田 茂司1、牧田 寛子1 (1. 東京海洋大学、2. 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構)

キーワード:

酸性坑廃水、坑廃水処理、鉄酸化細菌

酸性坑廃水は, 鉄などの重金属を高濃度に含む硫酸酸性の廃水であり, 閉山後も継続的な処理が必要である。国内で主流の中和処理では,二価鉄を除去する際に大量の薬剤を使用するため,長期的な経済負担の大きさが問題となっている。これに対し, 現場環境の鉄酸化細菌を処理に用い, 予め酸性条件で二価鉄を酸化させることで, 低コストかつ高効率な鉄除去を達成できる可能性がある。本研究では, A鉱山廃水処理施設を対象に, 生物的処理の導入に向けた鉄酸化細菌の生理・生態の解明を目的とし, 分子生物学的解析や水質分析などを実施した。その結果, 現場環境には2系統の鉄酸化細菌が優占していることを確認した。このうちFerrovum属細菌は鉄酸化能に加え, 細胞外高分子物質の高い産生能を有し, 坑廃水の約千倍もの密度の細胞を含むバイオマットを形成していた。もう一方のGallionellaceae科細菌は, 溶存酸素量が低く無機的な鉄酸化が進行しにくい配管内でも盛んに鉄酸化を行っていることが示唆された。以上より, 現場環境に生息する鉄酸化細菌は, バイオマットの形成による鉄酸化細菌の高密度化や配管内での迅速な鉄酸化などの働きにより, 安定的かつ効率的な廃水処理に寄与すると期待できる。