講演情報

[2307]次亜塩素酸によるNCM系正極材からの選択的リチウム抽出と不純物金属の影響

○鳥海 渓1[博士課程]、西村 康雄2、林 桂三2、松木 詩路士2、高谷 雄太郎1、所 千晴3,1 (1. 東京大学、2. 東亞合成株式会社、3. 早稲田大学)
司会: 上田高生(産総研)

キーワード:

リチウムイオン電池リサイクル、リチウム回収、選択的リチウム抽出、三元系正極材、次亜塩素酸酸化

リチウムイオン電池(LIB)のリサイクルでは、リチウム(Li)をニッケル、コバルト、マンガンなどの遷移金属から効率的に分離する技術が重要である。従来の酸浸出では全金属が溶解するため、その後のpH調整や不純物除去工程においてLi損失が生じる。そこで本研究では、遷移金属を酸化状態で固相中に保持し、Liのみを液相へ選択的に抽出することを目的として、NCM系正極材に対する次亜塩素酸酸化浸出を検討した。NCM333、NCM424、NCM523を対象に、NaClO、LiClO、KClOを用いてpH 7–8付近で抽出を実施し、アルカリ金属カチオン種および正極組成がLi抽出挙動に及ぼす影響を評価した。さらに、廃LIB処理で混入が想定されるアルミニウムを添加し、不純物金属がLi抽出率および残渣構造に与える影響を調査した。XRD分析より、処理後残渣ではNCM由来ピークの低下およびシフトに加え、γ-NiOOHに由来する新規ピークが確認され、Li抽出に伴う層状構造変化が示唆された。NaClOおよびLiClOでは高いLi抽出率が得られ、特にLiClOはNaやKの混入を抑制しながらLiを選択的に回収できる可能性を示した。また、不純物金属の共存が酸化浸出挙動に与える影響を明らかにし、実廃LIB由来原料への適用性を検討した。