講演情報

[3502]近世日本における銀銅製錬技術の展開と地域的特性 -石見銀山・生野銀山・多田銀銅山の比較を中心に-

○青木 美香1 (1. 京都府立大学)
司会: 小松美鈴(九州大学総合研究博物館)

キーワード:

石見銀山、生野銀山、多田銀銅山、製錬技術、鉱石特性

近世日本の主要銀山における生産技術は、1533年に石見銀山で鉱山開発と合せ吹が導入されたことを契機として急速な発展を遂げた。その技術は16世紀後半に生野銀山、多田銀銅山、佐渡鶴子銀山、相川銀山へと伝播し、日本は世界有数の産銀国となった。これらの銀山は17世紀に銅の生産が中心となり、銀銅山へと変化していった。
 しかし、各鉱山における製錬工程の実態や地域ごとの技術展開の差異については、未解明な点が多い。
 本報告では、石見銀山・生野銀山・多田銀銅山を対象として、近世の遺構・遺物に関する調査成果および鉱石の科学分析データをもとに、鉱石特性に応じた製錬技術の選択とその変遷について比較検討する。
 近年、生野銀山に関する文献史料の検討から、石見銀山由来の技術を受容していた可能性が指摘されている。さらに、昨年度の発掘調査では製錬遺構およびスラグが検出され、その実態を検証するための基礎資料が蓄積されつつある。
 また、各鉱山における鉱石品位や鉱物組成の差異は製錬方法の選択にも影響を与えたと考えられる。一方、生野銀山では、多田銀銅山で確認されている焙焼施設である「焼竈」が検出されておらず、文献史料からも焙焼工程を経ない「生鉑吹」による製錬が行われていた可能性が高い。
 本発表では、鉱石特性と製錬技術との関係に着目し、石見銀山・生野銀山・多田銀銅山を中心とした近世日本の銀・銅生産技術の地域的展開について考察する。