講演情報
[14-O-D005-03]認知症中高度者のリハビリテーションの効果と限界あきらめないでよかった
*古瀬 多華江1 (1. 埼玉県 ふれあいの郷あげお、2. リハビリテーション部)
週2回の個別リハビリの提供だけでは体力や活動性を上げられない現状がある。そこで集団にて回数を多くした対応でADL能力が向上するかを検証する。
【はじめに】
週1回の個別リハビリの提供だけでは体力や活動性を上げられない現状がある。そこで集団にて回数を多くした対応でADL能力が向上するかを検証する。
【対象】
利用者27名(男性7名女性20名)年齢平均88.6歳 平均介護度3
平均HDS-R10点(0~23点)平均入所月数 25.9か月(1~105ヶ月)
【方法】
対象者に集団で立ち上がり10回・平行棒歩行1往復を1セットとした運動を週5回提供した。
活動の検証を行うために、FIM(機能的自立度評価法)、ShortQOL-D(認知症高齢者の健康関連QOL評価表 短縮版)を使用した。
【期間】
令和5年10月~令和6年3月(合計80回)
【結果】
平均参加率92% 100~90% 8名 89~60% 8名・・半数が80%以上の参加となった。
FIMによる評価は初回と最終の違いはほとんどない結果となった。
QOL-Dによる評価は参加率が高い人は陽性感情が高い状態となった。参加率が低い人は陰性感情が高い状態となった。参加することで陽性感情が高まる生活になった。
【考察】
QOL-Dの結果より参加率が高いグループの陽性合計得点が高い値を示せたのは、認知症の人への運動は生活リズムと精神症状の安定に作用する1)と言われているからである。仲間意識や達成感もプラスとなり、高い値が示せたと考える。
ADLに関しては、上記の作用により認知機能が活性化され、自立度が高くなればと考えていたが、認知症は認知機能の低下によって日常生活を阻害させる状態2)で、不可逆的でもあるため、元のようにADLが出来るようになることは困難な状態なため、FIMの初回と最終の結果の相違がなかったことに繋がると考える。
【おわりに】
認知症の中高度者はADLの介助量も増え、精神症状や行動障害の合併症状も高い割合で出現している。3)リハビリテーションは、介助量を増やさないようにすること、精神症状を安定させることも大切で、そのためには実際のADL場面に介入し、環境調整や能力評価を行い、残存能力を発揮させることや精神症状、行動障害を安定させることも大切にしてくことが必要と考える。
引用文献
1)村井 千賀: 令和5年度老人保健健康増進等事業 調査研究事業 認知症のリハビリテーション
2)山口 智晴:埼玉県作業療法士協会主催 2023年度認知症研修 認知症の人の暮らしの支援
3)池田学 監修 村井千賀編:認知障害作業療法ケースブック重度別の認知症と作業療法ADL/IADL能力の獲得に向けて
週1回の個別リハビリの提供だけでは体力や活動性を上げられない現状がある。そこで集団にて回数を多くした対応でADL能力が向上するかを検証する。
【対象】
利用者27名(男性7名女性20名)年齢平均88.6歳 平均介護度3
平均HDS-R10点(0~23点)平均入所月数 25.9か月(1~105ヶ月)
【方法】
対象者に集団で立ち上がり10回・平行棒歩行1往復を1セットとした運動を週5回提供した。
活動の検証を行うために、FIM(機能的自立度評価法)、ShortQOL-D(認知症高齢者の健康関連QOL評価表 短縮版)を使用した。
【期間】
令和5年10月~令和6年3月(合計80回)
【結果】
平均参加率92% 100~90% 8名 89~60% 8名・・半数が80%以上の参加となった。
FIMによる評価は初回と最終の違いはほとんどない結果となった。
QOL-Dによる評価は参加率が高い人は陽性感情が高い状態となった。参加率が低い人は陰性感情が高い状態となった。参加することで陽性感情が高まる生活になった。
【考察】
QOL-Dの結果より参加率が高いグループの陽性合計得点が高い値を示せたのは、認知症の人への運動は生活リズムと精神症状の安定に作用する1)と言われているからである。仲間意識や達成感もプラスとなり、高い値が示せたと考える。
ADLに関しては、上記の作用により認知機能が活性化され、自立度が高くなればと考えていたが、認知症は認知機能の低下によって日常生活を阻害させる状態2)で、不可逆的でもあるため、元のようにADLが出来るようになることは困難な状態なため、FIMの初回と最終の結果の相違がなかったことに繋がると考える。
【おわりに】
認知症の中高度者はADLの介助量も増え、精神症状や行動障害の合併症状も高い割合で出現している。3)リハビリテーションは、介助量を増やさないようにすること、精神症状を安定させることも大切で、そのためには実際のADL場面に介入し、環境調整や能力評価を行い、残存能力を発揮させることや精神症状、行動障害を安定させることも大切にしてくことが必要と考える。
引用文献
1)村井 千賀: 令和5年度老人保健健康増進等事業 調査研究事業 認知症のリハビリテーション
2)山口 智晴:埼玉県作業療法士協会主催 2023年度認知症研修 認知症の人の暮らしの支援
3)池田学 監修 村井千賀編:認知障害作業療法ケースブック重度別の認知症と作業療法ADL/IADL能力の獲得に向けて