講演情報

[14-O-P206-03]入職後3年目を迎えて~日本での永住権を目指して~

*キズ ビノダ1 (1. 栃木県 老人保健施設白楽園)
PDFダウンロードPDFダウンロード
私は老人保健施設 白楽園に入職して3年目を迎えています。介護福祉士養成施設での学びを経て介護福祉士資格を取得し、入職に至るまでの施設との関りや支援もあり、現在は利用者様からも信頼が得られる介護福祉士に成長しました。その過程と今後の展望について報告します。
私は日本の文化、言語、人々について学ぶことに期待と冒険心を抱き、ネパールより2016年に日本語学校に入学。卒業後、介護の道に進もうと思い2020年4月に国際看護介護保育専門学校に入学(介護専攻)しました。入学にあたり、介護福祉士修学資金制度を利用し、現在の就労先である法人に保証人となってもらい、2年間介護に関する勉強に励みました。在学中は生活費のため28時間/週のアルバイトをし、夏休み等の長期の休みには、28時間/週以上になっても可能な為、可能な限りアルバイトで生計を立てていました。2年間の就学を終え無事に卒業し、介護福祉士の資格を取得。2022年4月 老人保健施設 白楽園 認知症専門棟に入職しました。就職後はビザに関しても留学ビザから介護ビザに変更となりました。就職するタイミングで、しばらく帰郷していなかった為、皆様のご支援もあり、ネパールに約1か月間帰郷することが出来ました。
在学中に最も深い学びは、実習等を通して認知症を患っている高齢者との実際の交流やケアの中にあり、大変興味を持つことが出来ました。この仕事を始める前は、認知症についてほとんど知識や経験が無く、在学中に教科書で読んだり、講義で学んだりしましたが、実際の体験や感情的な深さには驚くばかりでした。また認知症の利用者様だけでなく、その家族や介護者にとっても複雑な感情もあり、大変であることと同時にやりがいや挑戦したい気持ちが芽生えました。これらは、ケアにおける信頼、理解、共感、共有の重要性を再認識させてくれました。
入職当初は緊張もありましたが、職員が非常に支援的で、親切さと専門知識で認知症ケアのニュアンスを教えてくれました。また、プリセプター制度もあり先輩職員からのアドバイスや支援内容に関しても定期的に評価していただき、少しずつ自信を持つ事が出来たことで、ケアの質も上がり利用者様からの信頼も得られるようになってきました。認知症の利用者様のコミュニケーションでは言葉だけでなく、ジェスチャー、表情、存在の力など新しい方法を学び実践してきました。日本語に関しては入職当初は話す事しか出来ない程度でしたが、現在では辞書やスマートフォンのアプリなどを活用しながら翻訳し読み書きすることが出来るようになっています。読み書きが出来る事で仕事の幅が広がり、日誌係や夜勤での申し送り、ケアプラン作成に関するアセスメントや継続判定などの書類作成なども任されるようになりました。また、数名の利用者様を担当するようになり、認知症の行動から転倒などの課題が見られたこともありますが、行動パターンの把握やIC機器の活用など工夫することで予防することも出来ました。いろいろな実践を積んできたことで、先読みする力も出てきて積極的な発言にもつながっています。施設の行事などの企画にも参加し、利用者様が笑顔になれるよう取り組んでいます。
仕事では毎日が学びとなっています。利用者様の苦悩や混乱の中でも認識できているかすかな瞬間から笑顔が見られると、心を打たれ、同時にこの仕事に就けて本当に良かったと感じる事があります。 来日より施設の方には多くの支援をいただき、日本で働く機会が与えられ、献身的な専門家や素晴らしい利用者様から多くの事を学ぶことが出来て深く感謝しています。この経験は、介護への情熱と認知症に苦しむ人々の生活を改善するという私の使命を強化しました。また、今後、日本人の介護人材が不足していく中、私たち外国人雇用が増えていくことが予想され、受け入れに対しての環境も整ってきています。今では、同じネパール出身の職員も2名入職され、互いの想いの共有や助言、指導など取り組んできたことで後輩職員の成長も見られています。今後も同じ思いを持って来日してくる後輩に対しても自分がPRして道を作っていければと思います。
現在ではネパールに居た妻も来日し、一緒に住むことが出来ていることでモチベーションも高く仕事に励んでいます。この仕事を続けていくことで今後も日本で滞在し永住権が得られるよう取り組んでいきたいと思います。
私の人生の旅を共有するプラットホームを与えて下さり、ありがとうございました。日本の高齢者コミュニティの福祉に貢献し続け、成長していくことを楽しみにしています。