講演情報
[14-O-J003-04]見た目も栄養も抜群に!少量高栄養の嚥下調整食を作る
*土屋 蘭奈1、古郡 晴南1 (1. 神奈川県 介護老人保健施設 ハートケア横浜小雀)
ミキサー食は調理時加水するため、常食と同等の栄養価を確保するためには容量が増えてしまい、利用者が全量摂取するには負担が大きく、栄養補助食品を付加することも多い。また、食材を攪拌するため原形がなく、色も悪くなり、何の料理が提供されているか認識しにくいという欠点がある。ミキサー食の栄養価を改善し、見た目を良くすることで利用者の喫食量を増やし、食事から栄養をしっかり確保する取り組みを行ったので報告する。
【現状・背景】嚥下機能が低下した場合、安全に食事摂取が行えるよう、嚥下調整食というものがある。その中にはミキサー食(学会分類2-2相当)があり、当施設でもこの形態を提供している方が多数いる。このミキサー食とは、食材を水分と共にミキサーにかけペースト状にし、凝集性・付着性に配慮したゲル化剤を加えて作成したものである。そのため、機材(ミキサー・計量器)とゲル化剤があれば容易に作成することができる。しかし、作成時に加水が必要となる為、常食と同等の栄養価を摂取しようとすると容量がどうしても増えてしまう。そのため、食事量が多く確保できない場合には栄養補助食品の付加が必要となる。また、食材を攪拌させて作成するため、食材の原形がわからなくなるとともに、食材が持つ色素が混ざり見た目が悪くなり、何の料理が提供されているのか認識しにくいという欠点がある。当施設はミキサー食対応の方が多く、栄養補助食品の使用量も増加し高額となっていることが課題となっている。そこで、ミキサー食を固形化(通称ソフト食)し栄養価、喫食量の改善に取り組んだ。【目的】ミキサー食を常食とほぼ変わらない栄養価・食事量にすることで、ご利用者の負担を軽減し、更には栄養補助食品の使用量を減少させる。【対象】ミキサー食(嚥下調整食学会分類2-2相当)を召し上がっているご利用者【方法】1)ゲル化剤をミキサーゲルからスルーパートナー(固形化補助食品)へ変更、型に入れ冷やし固形化した通称ソフト食をつくる(加温しても形が崩れない)2)ソフト食を作る際、メイプロテインとサラダ油を添加し、栄養価を強化する3)評価:喫食量および栄養補助食品の使用量を、ソフト食への変更前後で比較する ソフト食変更前:令和5年1月~令和5年6月 ソフト食変更後:令和5年7月~令和6年2月【結果】・栄養強化において毎日提供している献立が異なる為、栄養価が充足できている日とできていない日がある・ソフト食導入前後の喫食量を比較したが、ターミナルの利用者様も多かった為、喫食量に大きな変化は見られなかった・ソフト食に移行することによって、学会分類コード3になると考えられるが、当施設ではコード2-2相当として提供する評価となった・栄養補助食品の使用量が月約12万円程度減少した【考察】・今回はまず昼食のみソフト食へ変更した。今後夕食に導入する際に再度栄養強化の見直しが必要と考える・ゲル化剤の調整が細かく必要だったが、見た目が良くなることによって食事満足度が上がると考える・ソフト食に変更後、食事の量を1食あたり15g減らすことができた為、利用者様の負担を減らすことができた。【参考文献】・日本摂食嚥下リハビリテーション学会 嚥下調整食分類 2021・ニュートリー株式会社 ホームページ・キッセイ薬品工業株式会社 ホームページ