講演情報
[14-O-J003-05]残飯減らしました~水切りによる残飯量減量~
*小池 佑介1 (1. 神奈川県 介護老人保健施設 ゆめが丘)
近年、ごみ処理やフードロスによる環境汚染が問題となっている。当施設での令和4年度の残飯廃棄量は7,200キロであり、決して少ないとは言えない。
今回の研究では、厨房で廃棄している残飯の水切りを行い、重量を減少させ、処理費削減と環境保護を目的に取り組みを行った。
その結果、年間約27,470円(概算)の処理費削減となり、環境保護にも繋がった。また本取り組みを通じ、職員一人ひとりの環境保護への意識が高まった。
今回の研究では、厨房で廃棄している残飯の水切りを行い、重量を減少させ、処理費削減と環境保護を目的に取り組みを行った。
その結果、年間約27,470円(概算)の処理費削減となり、環境保護にも繋がった。また本取り組みを通じ、職員一人ひとりの環境保護への意識が高まった。
【はじめに】
近年ごみ処理における二酸化炭素の増加や、温暖化などの環境汚染が問題となっている。環境省によると令和4年度のごみ総排出量は4,034万トン、ごみ処理事業経費は2兆1,519億円であった。
当施設では令和4年度の残飯だけで約7,200キロ、総廃棄物処分費に年間約1,511,532円の経費がかかった。生ごみは80%が水分といわれており含水率が高く、可燃ごみの発熱量低下の原因となっている。
水分が含まれているごみは焼却時に莫大なエネルギーが必要となり、環境に大きな負担を与えてしまっている。そのため各自治体で生ごみの水切りを推進し、含水率を低減させることにより、ごみの減量の取り組みが行われている。
一方、生産年齢人口減少によるマンパワー不足も社会問題のひとつなっており、当施設も例外ではなくマンパワー不足が深刻化している。
今回、残飯の水分を抜くことで少しでも残飯量を減少させ、ごみ処分費の削減・環境への負担軽減を目指し取り組みを行った。またマンパワー不足を加味し如何に業務量を増やさず、成果を上げるかにも焦点を置いて課題に取り組んだので報告する。
【目的】
排出されたごみは、ごみ収集車により処理施設に運搬されて焼却処理される。このごみを減量すれば運搬・焼却処理に伴い発生する地球温暖化の原因である二酸化炭素の排出量を抑制することができる。
また処分費の削減にもなり、施設運営に貢献できると考えられる。
以上のことから、残飯廃棄の減量によるごみ処理費削減および環境保護を目的とした。
【方法】
期間:2023年12月1日~2024年2月28日
残飯処理の際に使用しているプラスチック製のザルをステンレス製の金ザルに変更して残飯の減量を図り、変更前後の残飯量及び処分費を比較・検証した。
【結果】
プラスチック製のザルをステンレス製の金ザルに変更したことで1日あたり平均5.3キロ、1か月あたり約16キロの残飯が減少した。
金額ベースにすると処分費は1か月2,289円、年間約27,470円(概算値)の削減となるエビデンスが出た。
【考察】
今回の結果から、ごみザルの材質をプラスチック製からステンレス製に変更することで、残飯の重量を減らせることが分かった。
重量を減らせた要因として、プラスチックザルよりステンレスザルの方が網の目の線が細いため、残飯の水分をより多く抜くことができたと考えられる。
また、プラスチックザルは平面が多く水が溜まりやすいが、ステンレスザルは平面が少なく水の表面張力が起きないため、水切れが良いと考えられた。
一般に喫食者が増えるほど、残飯量は増加する傾向にある。しかし今回の取り組みでステンレスザルへ変更後、平均入所稼働率が高い状況にあったのにも関わらず、残飯量が減少していた。
これらのことから、ステンレスザルの脱水力の高さが窺えた。
業務量に関してはザルの材質を変更しただけなので、厨房スタッフの負担は増えることはなかった。そのため人件費に大きな違いはみられなかった。
【まとめ】
ごみザルをプラスチック製からステンレス製に変更することで、残飯の水分が多く抜け、残飯量を月に約16キロ減量することができた。
そして残飯を減量することにより、概算で年間27,240円の経費を削減できると見込まれた。また残飯が減量されたことで運搬時・焼却時の二酸化炭素の排出が削減されたと推測される。
今回の取り組みでは、如何に業務量を増やさずに経費削減できるかに焦点を当てて研究に取り組んだが、今後は費用対効果を考慮し業務量や設備投資を増やしても、その分経費を削減できるような取り組みを模索していきたい。また本取り組みを通じて、職員食の残飯が減るという副次的効果がみられ、職員の環境保護に対しての意識に少なからず影響がみられた。フードロスが社会問題となっている中、この行動変容には大きな意義があると感じた。
今後はポスター掲示などで啓蒙活動を行い、職員の意識を高く保ち、継続的に残飯減量による経費削減、そして社会貢献と共に環境保護に取り組んでいく。
近年ごみ処理における二酸化炭素の増加や、温暖化などの環境汚染が問題となっている。環境省によると令和4年度のごみ総排出量は4,034万トン、ごみ処理事業経費は2兆1,519億円であった。
当施設では令和4年度の残飯だけで約7,200キロ、総廃棄物処分費に年間約1,511,532円の経費がかかった。生ごみは80%が水分といわれており含水率が高く、可燃ごみの発熱量低下の原因となっている。
水分が含まれているごみは焼却時に莫大なエネルギーが必要となり、環境に大きな負担を与えてしまっている。そのため各自治体で生ごみの水切りを推進し、含水率を低減させることにより、ごみの減量の取り組みが行われている。
一方、生産年齢人口減少によるマンパワー不足も社会問題のひとつなっており、当施設も例外ではなくマンパワー不足が深刻化している。
今回、残飯の水分を抜くことで少しでも残飯量を減少させ、ごみ処分費の削減・環境への負担軽減を目指し取り組みを行った。またマンパワー不足を加味し如何に業務量を増やさず、成果を上げるかにも焦点を置いて課題に取り組んだので報告する。
【目的】
排出されたごみは、ごみ収集車により処理施設に運搬されて焼却処理される。このごみを減量すれば運搬・焼却処理に伴い発生する地球温暖化の原因である二酸化炭素の排出量を抑制することができる。
また処分費の削減にもなり、施設運営に貢献できると考えられる。
以上のことから、残飯廃棄の減量によるごみ処理費削減および環境保護を目的とした。
【方法】
期間:2023年12月1日~2024年2月28日
残飯処理の際に使用しているプラスチック製のザルをステンレス製の金ザルに変更して残飯の減量を図り、変更前後の残飯量及び処分費を比較・検証した。
【結果】
プラスチック製のザルをステンレス製の金ザルに変更したことで1日あたり平均5.3キロ、1か月あたり約16キロの残飯が減少した。
金額ベースにすると処分費は1か月2,289円、年間約27,470円(概算値)の削減となるエビデンスが出た。
【考察】
今回の結果から、ごみザルの材質をプラスチック製からステンレス製に変更することで、残飯の重量を減らせることが分かった。
重量を減らせた要因として、プラスチックザルよりステンレスザルの方が網の目の線が細いため、残飯の水分をより多く抜くことができたと考えられる。
また、プラスチックザルは平面が多く水が溜まりやすいが、ステンレスザルは平面が少なく水の表面張力が起きないため、水切れが良いと考えられた。
一般に喫食者が増えるほど、残飯量は増加する傾向にある。しかし今回の取り組みでステンレスザルへ変更後、平均入所稼働率が高い状況にあったのにも関わらず、残飯量が減少していた。
これらのことから、ステンレスザルの脱水力の高さが窺えた。
業務量に関してはザルの材質を変更しただけなので、厨房スタッフの負担は増えることはなかった。そのため人件費に大きな違いはみられなかった。
【まとめ】
ごみザルをプラスチック製からステンレス製に変更することで、残飯の水分が多く抜け、残飯量を月に約16キロ減量することができた。
そして残飯を減量することにより、概算で年間27,240円の経費を削減できると見込まれた。また残飯が減量されたことで運搬時・焼却時の二酸化炭素の排出が削減されたと推測される。
今回の取り組みでは、如何に業務量を増やさずに経費削減できるかに焦点を当てて研究に取り組んだが、今後は費用対効果を考慮し業務量や設備投資を増やしても、その分経費を削減できるような取り組みを模索していきたい。また本取り組みを通じて、職員食の残飯が減るという副次的効果がみられ、職員の環境保護に対しての意識に少なからず影響がみられた。フードロスが社会問題となっている中、この行動変容には大きな意義があると感じた。
今後はポスター掲示などで啓蒙活動を行い、職員の意識を高く保ち、継続的に残飯減量による経費削減、そして社会貢献と共に環境保護に取り組んでいく。