講演情報
[14-P-L002-01]有酸素運動及び知的活動プログラムの実施効果について
*加藤 哲生1、小林 泰喜1 (1. 島根県 介護老人保健施設昌寿苑)
当通所リハビリテーションを継続して利用し有酸素運動と知的活動プログラムを実施することで3年間の長期にわたり身体及び認知機能をある程度維持できる可能性が示唆された。
【はじめに】
新型コロナウィルス感染拡大により外出する機会が減少し、要介護高齢者の生活活動度および認知機能の低下が有意に認められることが報告されているが、当通所リハビリテーションを継続して利用した利用者においては、少なからず外出の機会が提供でき、状態がある程度維持できているのではないかと考えられる。その中でも、リハビリテーションプログラムの差によってもその効果の差は出るのではないかと考え、調査してみた。
【目的】
介護予防や認知症の重度化予防に効果があると報告されている「有酸素運動相当の運動と知的活動プログラム」の実施者が非実施者よりも有意に重度化予防が図れていることを確認したい。
【対象】
当施設の全利用者のうち、対象期間の2021.2月~2024.4月の間、当施設を継続して利用された要支援1.2および要介護1の利用者30名(男性13名、女性17名)平均年齢86.8歳を対象とした。
【方法】
対象期間中、マシントレーニングと同等の有酸素運動と知的活動を合わせて週1回以上継続された利用者21名を「実施群」、実施していない利用者9名を「非実施群」とした。
2021年2月および2024年4月の認知症高齢者の日常生活自立度(以下自立度)、要介護度、MMSE、HDS-R、TimedUP&GoTest(以下TUG)の平均値を前後比較し、両群で比較する。
【結果】
自立度の「実施群」5.81→5.38「非実施群」4.44→4.33、要介護度の「実施群」3.86→3.52「非実施群」3.33→3.11、MMSE「実施群」24.5→22.6「非実施群」19.2→16.6、HDS-R「実施群」23.9→21.1「非実施群」19.0→15.6、TUGの「実施群」15.0→17.5「非実施群」17.6→25.1であった。
「実施群」「非実施群」共にTUG、MMSE、HDS-Rともに低下していたが、「非実施群」と比べ「実施群」のTUG、MMSE、HDS-Rの低下の幅が狭い。自立度および要介護度のランクはすべての群において変化は認められなかった。その他の評価の平均値の結果は表1のとおり。
【考察】
対象者の平均年齢が86歳代であり、3年2か月間の対象期間を考慮すると、いずれの群も運動機能、認知機能等の一定の低下は前提として考察する必要があると考える。
「非実施群」に比べ「実施群」のTUG、MMSE、HDS-Rの低下の幅が狭く抑えられており、プログラムの介入が介護予防、認知症の重度化予防により肯定的な影響を与えたと考えられる。
これらの事から、「実施群」に行ってきたプログラムの有効性が示唆されたが、それには当通所リハビリテーションがコロナ禍の中、事業継続できた前提があったことは言うまでもない。今後も感染症対策を継続し、利用者の社会交流の「場」を提供したうえで、有効なプログラムを実施していくことが必要であることを再認識した。
【終わりに】
今回の結果は、コロナ禍においても通所リハビリテーションを継続利用し、そのなかでもさらに有酸素運動と知的活動プログラムを実施することで3年間の長期にわたり身体及び認知機能をある程度維持できる可能性が示唆された。今後は、実践内容等を再検討し、サンプル数を確保して統計学的な検討を実施したい。
【倫理的配慮】
データは個人が特定出来ないよう配慮、当施設の個人情報保護指針により、利用者への同意を得た。当法人倫理委員会の承認を得て行った。
新型コロナウィルス感染拡大により外出する機会が減少し、要介護高齢者の生活活動度および認知機能の低下が有意に認められることが報告されているが、当通所リハビリテーションを継続して利用した利用者においては、少なからず外出の機会が提供でき、状態がある程度維持できているのではないかと考えられる。その中でも、リハビリテーションプログラムの差によってもその効果の差は出るのではないかと考え、調査してみた。
【目的】
介護予防や認知症の重度化予防に効果があると報告されている「有酸素運動相当の運動と知的活動プログラム」の実施者が非実施者よりも有意に重度化予防が図れていることを確認したい。
【対象】
当施設の全利用者のうち、対象期間の2021.2月~2024.4月の間、当施設を継続して利用された要支援1.2および要介護1の利用者30名(男性13名、女性17名)平均年齢86.8歳を対象とした。
【方法】
対象期間中、マシントレーニングと同等の有酸素運動と知的活動を合わせて週1回以上継続された利用者21名を「実施群」、実施していない利用者9名を「非実施群」とした。
2021年2月および2024年4月の認知症高齢者の日常生活自立度(以下自立度)、要介護度、MMSE、HDS-R、TimedUP&GoTest(以下TUG)の平均値を前後比較し、両群で比較する。
【結果】
自立度の「実施群」5.81→5.38「非実施群」4.44→4.33、要介護度の「実施群」3.86→3.52「非実施群」3.33→3.11、MMSE「実施群」24.5→22.6「非実施群」19.2→16.6、HDS-R「実施群」23.9→21.1「非実施群」19.0→15.6、TUGの「実施群」15.0→17.5「非実施群」17.6→25.1であった。
「実施群」「非実施群」共にTUG、MMSE、HDS-Rともに低下していたが、「非実施群」と比べ「実施群」のTUG、MMSE、HDS-Rの低下の幅が狭い。自立度および要介護度のランクはすべての群において変化は認められなかった。その他の評価の平均値の結果は表1のとおり。
【考察】
対象者の平均年齢が86歳代であり、3年2か月間の対象期間を考慮すると、いずれの群も運動機能、認知機能等の一定の低下は前提として考察する必要があると考える。
「非実施群」に比べ「実施群」のTUG、MMSE、HDS-Rの低下の幅が狭く抑えられており、プログラムの介入が介護予防、認知症の重度化予防により肯定的な影響を与えたと考えられる。
これらの事から、「実施群」に行ってきたプログラムの有効性が示唆されたが、それには当通所リハビリテーションがコロナ禍の中、事業継続できた前提があったことは言うまでもない。今後も感染症対策を継続し、利用者の社会交流の「場」を提供したうえで、有効なプログラムを実施していくことが必要であることを再認識した。
【終わりに】
今回の結果は、コロナ禍においても通所リハビリテーションを継続利用し、そのなかでもさらに有酸素運動と知的活動プログラムを実施することで3年間の長期にわたり身体及び認知機能をある程度維持できる可能性が示唆された。今後は、実践内容等を再検討し、サンプル数を確保して統計学的な検討を実施したい。
【倫理的配慮】
データは個人が特定出来ないよう配慮、当施設の個人情報保護指針により、利用者への同意を得た。当法人倫理委員会の承認を得て行った。