講演情報

[14-P-L002-06]入所利用者のWell-being向上のため取り組んだこと

*馬渕 愛子1、島袋  盛一1、浅川 義堂1、小島 美穂子1、平光 亮介1、河合  璃保1 (1. 岐阜県 医療法人社団 友愛会 介護老人保健施設 山県グリーンポート)
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入所利用者のWell-being向上を目指した活動を地域住民と一緒に実施したので報告する。SDGsの観点から、廃棄される予定の牛乳パックを使用しゴミ箱を作成。材料の切り出しは入所利用者、組み立て・デザインは地域住民が行い完成品を当施設で使用。感想を聴取すると、「楽しい時間だった」等の声があり、入所者のWell-being向上と同時に当施設を地域に認知してもらう機会となったので報告する。
【はじめに】
当施設では、利用者様の入所期間が長期となり身体機能・認知機能低下を招いてしまう事例がある。リハビリテーション業務の日々の関わりでは利用者様のADLの維持・拡大に向けて支援を行っているが、Well-beingの向上については取り組めていない状態であった。そこで、利用者様の希望を聴取しWell-being向上を目指す活動を行うこととした。加えて、地域住民と共に取り組める活動を行い、利用者様の満足度向上だけでなく地域との繋がりとなる活動を行ったので報告する。
【対象・方法】
当法人では毎月第3土曜日に施設の一部を開放し、地域住民と食事を一緒に作り、食べる「Oneぱくキッチン」を開催している。また、地域住民の居場所になればという思いからレクリエーション活動や医療・介護の体験活動を行っている。今回、その場を借りて利用者様と地域住民が協力しゴミ箱の作成を行った。活動終了後は、活動を通しての感想を聴取し利用者様の心境の変化を考察した。
対象は活動の趣旨に同意が得られた、当施設に入所中の7名(男性1名、女性6名)と当日参加された地域住民8名である。
調査方法は聞き取り調査とし、活動を終えた後、感想を聴取した。活動内容は、SDGsの観点から当施設で破棄される予定の牛乳パックを使用しゴミ箱を作成した。材料の切り出しを入所者と行い、組み立て・デザインを地域住民に行ってもらい完成品を当施設で使用した。入所者には、地域住民が作成している様子の動画を見ていただいた。
活動期間は令和5年の10月27日~11月22日まで実施した。
【結果】
活動を通して、利用者様からは「楽しい時間だった」、「一緒に作れて嬉しかった」等の言葉をいただいた。活動時はコロナ禍であり、入所生活の中で家族や地域との関わりが減少し、自分自身の楽しみややりがいを感じる場面が少なくなっていた。活動を通して、感情を表出されることが少なくなった方からも喜びの言葉をいただき笑顔を見ることがでた。地域住民からは「準備してくれて嬉しかった」「当施設を知ることができた」等の言葉をいただき、介護老人保健施設を地域に認知してもらう機会にもなった。
【考察】
今回の取り組みを通して、Well-being向上の為には利用者様のやりがいや自分自身の役割を見つけることのできる活動を実施することが大切だと分かった。活動期間はコロナ禍であり、面会制限などで家族や地域との繋がりが減り、利用者様の孤独感が強くなっていた。このような取り組みを行い利用者様同士で活動を楽しみ、時間を共有することで会話が増え信頼関係の構築へ繋がった。そして、地域住民からの完成品を受け取り実際に施設で使用することで地域との繋がりも感じられた。これは、利用者様の精神的・社会的な支援となりWell-beingに繋がっていくと考えられる。今後もWell-being向上に向け、このような取り組みの継続が重要となる。その為、日頃から利用者様の希望を聴取することや、利用者様が思いを伝えられる環境を作ることを心掛けることが必要である。その中で、利用者様が地域と関わりが持てる活動又は役割を考え提供していくことが重要だと考えられる。