講演情報
[22-O-K002-05]見て楽しい!食べて美味しい!マグロ解体ショー
*関根 聡子、田栗 華 (神奈川県 介護老人保健施設 都筑シニアセンター)
【はじめに】
当施設で行っている利用者アンケートの結果や日頃のミールラウンドでも「生ものや寿司が食べたい」という声が多くきかれている。
また、私自身も新卒で特養に入職した頃から食のイベントとして「マグロ解体ショーを開催したい」という夢を持っていた。しかし、予算や交渉面の課題から実現は難しい状況だった。その後、都筑シニアセンターへ転職をし、ホームページで過去にマグロ解体ショーを開催していたことを知った。そこで理事長に相談したところ「予算はかかっても是非、利用者のために実現しよう」と快く後押しをしていただいた。
利用者の希望、施設の想い、そして私自身の夢が重なり、マグロ解体・寿司・日本料理と各スペシャリストが集結し夢のマグロ解体ショーの実現につながったため報告する。
【目的】
日頃見られないマグロの解体を間近で見て臨場感をあじわってもらい生のマグロを召し上がって頂く。非日常を提供することにより利用者のQOLの向上や生きがいにつなげることを目的とした。
【対象者】
常食を召し上がっている利用者。入所:78名、通所:33名、合計111名
【献立】
マグロ寿司3貫(大トロ、中トロ、赤身)、鉄火丼、漬物、あら汁
寿司に添えるガリ・漬物・あら汁は職人お手製
【方法】
マグロの仕入れに関しては、理事長の知り合いである川崎市北部市場のマグロ業者に購入と解体を依頼、日程調整やタイムテーブルの打ち合わせもおこなった。
当日は事前に依頼していた介護士の司会進行にそってマグロの解体ショーを実演した。職人の紹介をすませ約70㎏の国産本マグロを目の前に刃渡り1m弱のマグロ包丁を巧みに用いてあっという間にさばいていく姿や真剣なまなざしでマグロに向き合う姿に利用者は釘付けになっていた。解体職人にはマグロの部位などを説明しながら解体して頂いた。マグロ包丁でさばいていく姿をみて利用者から拍手と歓声が上がっていた。寿司職人・日本料理職人は法被やユニフォームを着ており雰囲気づくりにも一役買っていた。捌いたばかりの新鮮なサクを厨房に運び寿司職人が刺身包丁で切って握り寿司を作っていった。ここでも職人の包丁さばきと握りは速く美しく、次々に握り寿司が完成していった。理事長や施設長・厨房の職員も総出で約500貫の寿司を握った。マグロ握りは大トロ・中トロ・赤身の3種類で、握った後に吉野葛でとろみをつけた詰醤油をハケで塗って提供した。てりつやが出て見た目も美しく、後から醤油をかけなくても美味しくいただけた。鉄火丼は酢飯が隠れるくらいマグロ漬けを放射線状に盛り付け、職人が生姜から手作りしたガリと千切りした大葉を飾った。
あら汁はタイやハマチを使用。血合いをよくあらいオーブンでアラを焼いてからあら汁にすることによってうま味を抽出した。そのうま味を生かすため塩は少量で味を調える程度にして最後に長ネギを加え香りを追加した。
会場の準備は解体ショーの開催場所であるフロアのテラスにテントを張りテーブル等を配置した。衛生面に配慮し、入所利用者は施設内フロアから着席にて、通所利用者はスクリーンでのライブ配信とし、そのための機材準備や確認もおこなった。
翌日、通所にてマグロ頭を兜焼きにして提供した。約70㎏のマグロの頭はホテルパンにギリギリ収まる程の大きさで頭のみでもかなりの重さだった。マグロ頭に塩を揉み込み約3時間焼いた。焼いた後に私たち栄養士が2人でホテルパンを片側ずつ持ち各テーブルを回り、利用者により近くで大きさや迫力を感じていただいた。頭や目玉の大きさ・脂ののった肉質に利用者から「わぁ~」と歓声が上がっていた。その後目の前で器に盛り付けおろしポン酢を添えて提供した。
【結果】
参加者合計78名に事後聞き取りアンケートを実施。(1)マグロ解体ショーはどうだったか、(2)(3)マグロ寿司・鉄火丼はどうだったか、(4)自由記述に分けて実施。
(1)に対し「良い」78%、「普通」20%「良くない」2%、(2)(3)に対し「良い」84%、「普通」14%、「良くない」2%、(4)に対しては、「解体ショーは素晴らしかった」「職人の紹介がよかった。職人が作ったものだと分かりやすかった。」「切りたて新鮮で良かった」「豪快ですごくよかった」「またイベントやって欲しい」「息子にも見せてあげたい」「久しぶりにお寿司を食べた」等の好評な意見が多かった。一方で、「ナマモノは苦手」「解体ショーは遠くで見にくかった」「柱に隠れて見えなかった」等の次につなげたい意見もあがった。
【考察】
アンケートの結果から、マグロ解体ショーの実演と生の本マグロを使った寿司や鉄火丼の提供は多くの利用者に喜んでいただけたと考えられる。普段の献立では作り手が分かりにくいが職人の紹介があることでより食事を楽しめたと思われる。日頃体験できない解体ショーを間近でみる楽しさや迫力をお伝えできたのか、またイベントをやってほしいという意見も多く聞かれ利用者にとって良い刺激になっていることが感じられた。加えてアンケートや日頃のミールラウンド時に聞かれる「寿司が食べたい」という願いもかなえると同時に実際に見ることで豪快さも感じとれた。
私たちが目的に掲げていた非日常の提供とQOLの向上や生きがいにつながるひとときを利用者に提供できた。
【終わりに】
この企画にご協力いただいた職人の皆様・携わっていただいた方々に厚く感謝申し上げます。今後もイベントを企画・実施し食への意欲・関心をもっていただけるよう施設全体で取り組んでいきたい。
当施設で行っている利用者アンケートの結果や日頃のミールラウンドでも「生ものや寿司が食べたい」という声が多くきかれている。
また、私自身も新卒で特養に入職した頃から食のイベントとして「マグロ解体ショーを開催したい」という夢を持っていた。しかし、予算や交渉面の課題から実現は難しい状況だった。その後、都筑シニアセンターへ転職をし、ホームページで過去にマグロ解体ショーを開催していたことを知った。そこで理事長に相談したところ「予算はかかっても是非、利用者のために実現しよう」と快く後押しをしていただいた。
利用者の希望、施設の想い、そして私自身の夢が重なり、マグロ解体・寿司・日本料理と各スペシャリストが集結し夢のマグロ解体ショーの実現につながったため報告する。
【目的】
日頃見られないマグロの解体を間近で見て臨場感をあじわってもらい生のマグロを召し上がって頂く。非日常を提供することにより利用者のQOLの向上や生きがいにつなげることを目的とした。
【対象者】
常食を召し上がっている利用者。入所:78名、通所:33名、合計111名
【献立】
マグロ寿司3貫(大トロ、中トロ、赤身)、鉄火丼、漬物、あら汁
寿司に添えるガリ・漬物・あら汁は職人お手製
【方法】
マグロの仕入れに関しては、理事長の知り合いである川崎市北部市場のマグロ業者に購入と解体を依頼、日程調整やタイムテーブルの打ち合わせもおこなった。
当日は事前に依頼していた介護士の司会進行にそってマグロの解体ショーを実演した。職人の紹介をすませ約70㎏の国産本マグロを目の前に刃渡り1m弱のマグロ包丁を巧みに用いてあっという間にさばいていく姿や真剣なまなざしでマグロに向き合う姿に利用者は釘付けになっていた。解体職人にはマグロの部位などを説明しながら解体して頂いた。マグロ包丁でさばいていく姿をみて利用者から拍手と歓声が上がっていた。寿司職人・日本料理職人は法被やユニフォームを着ており雰囲気づくりにも一役買っていた。捌いたばかりの新鮮なサクを厨房に運び寿司職人が刺身包丁で切って握り寿司を作っていった。ここでも職人の包丁さばきと握りは速く美しく、次々に握り寿司が完成していった。理事長や施設長・厨房の職員も総出で約500貫の寿司を握った。マグロ握りは大トロ・中トロ・赤身の3種類で、握った後に吉野葛でとろみをつけた詰醤油をハケで塗って提供した。てりつやが出て見た目も美しく、後から醤油をかけなくても美味しくいただけた。鉄火丼は酢飯が隠れるくらいマグロ漬けを放射線状に盛り付け、職人が生姜から手作りしたガリと千切りした大葉を飾った。
あら汁はタイやハマチを使用。血合いをよくあらいオーブンでアラを焼いてからあら汁にすることによってうま味を抽出した。そのうま味を生かすため塩は少量で味を調える程度にして最後に長ネギを加え香りを追加した。
会場の準備は解体ショーの開催場所であるフロアのテラスにテントを張りテーブル等を配置した。衛生面に配慮し、入所利用者は施設内フロアから着席にて、通所利用者はスクリーンでのライブ配信とし、そのための機材準備や確認もおこなった。
翌日、通所にてマグロ頭を兜焼きにして提供した。約70㎏のマグロの頭はホテルパンにギリギリ収まる程の大きさで頭のみでもかなりの重さだった。マグロ頭に塩を揉み込み約3時間焼いた。焼いた後に私たち栄養士が2人でホテルパンを片側ずつ持ち各テーブルを回り、利用者により近くで大きさや迫力を感じていただいた。頭や目玉の大きさ・脂ののった肉質に利用者から「わぁ~」と歓声が上がっていた。その後目の前で器に盛り付けおろしポン酢を添えて提供した。
【結果】
参加者合計78名に事後聞き取りアンケートを実施。(1)マグロ解体ショーはどうだったか、(2)(3)マグロ寿司・鉄火丼はどうだったか、(4)自由記述に分けて実施。
(1)に対し「良い」78%、「普通」20%「良くない」2%、(2)(3)に対し「良い」84%、「普通」14%、「良くない」2%、(4)に対しては、「解体ショーは素晴らしかった」「職人の紹介がよかった。職人が作ったものだと分かりやすかった。」「切りたて新鮮で良かった」「豪快ですごくよかった」「またイベントやって欲しい」「息子にも見せてあげたい」「久しぶりにお寿司を食べた」等の好評な意見が多かった。一方で、「ナマモノは苦手」「解体ショーは遠くで見にくかった」「柱に隠れて見えなかった」等の次につなげたい意見もあがった。
【考察】
アンケートの結果から、マグロ解体ショーの実演と生の本マグロを使った寿司や鉄火丼の提供は多くの利用者に喜んでいただけたと考えられる。普段の献立では作り手が分かりにくいが職人の紹介があることでより食事を楽しめたと思われる。日頃体験できない解体ショーを間近でみる楽しさや迫力をお伝えできたのか、またイベントをやってほしいという意見も多く聞かれ利用者にとって良い刺激になっていることが感じられた。加えてアンケートや日頃のミールラウンド時に聞かれる「寿司が食べたい」という願いもかなえると同時に実際に見ることで豪快さも感じとれた。
私たちが目的に掲げていた非日常の提供とQOLの向上や生きがいにつながるひとときを利用者に提供できた。
【終わりに】
この企画にご協力いただいた職人の皆様・携わっていただいた方々に厚く感謝申し上げます。今後もイベントを企画・実施し食への意欲・関心をもっていただけるよう施設全体で取り組んでいきたい。
