講演情報

[22-O-J4K1-04]ハーフ食提供者の実態調査と全量食移行後の栄養評価~自宅退院に向けてスムーズな食事移行を目指して~

*高橋 千秋、高玉 真光、猪瀬 佳子、岡﨑 晶子、閑 裕樹 (群馬県 群馬老人保健センター陽光苑)
PDFダウンロードPDFダウンロード
【はじめに】 当苑では食欲低下や咀嚼、嚥下機能低下を理由に摂取量が低下してしまう利用者の為に栄養補助食品を付加し必要量が充足できる「ハーフ食」を提供している。ハーフ食は少量で必要量を補える利点もあるが、在宅復帰を目標としている老健施設においては自宅での食事量の乖離や経済的負担が難点となる。そこで当苑のハーフ食の実態を調査するとともに全量食移行可能な入所者の移行前後の栄養状態の変化について調査した。
【当苑のハーフ食について】入所者の必要量に合わせて主食量を調整、副食量を全量食の1/2量としており、補足分として栄養補助食品のドリンクタイプもしくはゼリータイプを選択可能とし提供。1日約1000~1400kcalのエネルギーとなる。朝食は乳製品、昼食と夕食の1日2回、栄養補助食品を提供している。
【方法】対象者は2026年1月時点での入所者49名中のハーフ食を摂取している29名とする。
(平均年齢88歳、男性7名、女性22名)
調査項目は提供期間、食形態、BMI、摂取量とする。
また多職種で検討し、全身状態、摂取状況が安定しており提供可能と判断した入所者に対しハーフ食から全量食へ移行を実施し移行前後の栄養状態の変化(BMI、摂取量、下腿周囲長)について調査した。
【結果①】ハーフ食の実態調査
提供期間は1か月未満が2名、1~3か月未満が4名、3~6か月未満が7名、6か月以上が8名、1年以上が4名、2年以上が4名。その中でも6か月、1年、2年以上の提供が55%を占めハーフ食提供の長期化が伺えた。
食形態はきざみ食12名、軟菜食9名、ムース食7名、ミキサー食1名。当苑の軟菜食、ムース食、ミキサー食は学会分類コード2021の嚥下コードに準じて分類しており、嚥下調整食の提供はハーフ食摂取者の半分以上(58%)を占めている。
BMIの分布は18.5未満が9名、18.5以上~25未満は18名、25以上は2名。適正範囲内にいる患者は62%と半数以上占めているが低体重の入所者が30%以上いることも分かった。
摂取量は全量摂取が9名、8~10割は15名、6~8割は3名、6割以下は2名。80%以上が8~10割摂取しており安定していることが伺える。
【結果②】全量食移行者の栄養評価
ハーフ食提供中で全身状態が安定しており9割以上摂取されている対象者を10名抽出。食事変更の了承を得られた8名を全量食移行者として栄養評価を行った。調査期間は2026年1月15日~5月15日の4か月間とした。
1名は食事が多いとのことで摂取量が低下、変更2か月後にハーフ食へ戻った。
他2名は他施設へ退所となり、継続できたのは5名。
BMIに関して1名は変化なし、3名は減少したが1㎏以内の体重減少に留まり概ね維持、他1名は4.1%の体重減少が認められた。
摂取量に関しては消化器病変が発見され摂取量が5割以下に低下された入所者が1名、調査終了期間目前にハーフ食へ変更、他4名は平均して9割以上摂取され良好な摂取量が維持された。下腿周囲長は皆+-1cm以内の変動で筋肉低下が示唆される著明な変化は認められなかった。
【考察①】
結果①についての考察
ハーフ食提供の長期化が現状にあるが、多くの利用者においてBMIは適正範囲内、摂取量は良好な摂取状況であり栄養状態は概ね良好であった。またハーフ食提供者の半数以上は嚥下調整食を摂取しており、咀嚼や嚥下機能低下を有する利用者であり、少量で必要量を確保できるハーフ食は有効な食種である事が明らかになった。一方、在宅復帰後の食生活を見据え、定期的に全量食移行についての必要性を検討することは重要だと感じた。
【考察②】
結果②についての考察
全量食へ移行した利用者においてはBMI、摂取量、下腿周囲長についてどの項目も著明な変化は認められず、多くの入所者は良好な摂取状況を維持する事ができた。このことから全身状態が安定しており、十分な摂取量が確保されている入所者においての全量食移行は可能だと示唆された。一方、体重減少が認められた対象者もいるため、全量食移行後も継続して身体状態、摂取状況の経過をみながら多職種で栄養評価を行うことが重要だと感じた。
【まとめ】
本研究を通して定期的な全量食移行についての検討は低栄養予防、及び在宅復帰を見据えた食事支援に関して有効な内容である事を感じた。今後はハーフ食提供者で全身状態が安定しており、9割以上摂取されている方は全量食移行の目安として多職種と評価しながら積極的に全量食移行を検討していきたい。