講演情報
[22-O-J4K1-06]乳清たんぱく質付加による低栄養改善への取り組み
*海保 成志 (三重県 介護老人保健施設やまゆりの里)
【はじめに】介護老人保健施設では低栄養状態にある利用者様が多く、サルコペニアやフレイル、褥瘡、ADL低下などにつながることが課題となっている。低栄養の改善には十分なたんぱく質摂取が重要であるが高齢者では食欲低下や食事量の減少、嗜好の変化などにより食事だけで必要量を摂取することが難しい利用者様も少なくない。当施設でも食事量を増やすことが困難な利用者様に対し、高カロリー食品を付加しても改善がみられない症例を経験した。そこで通常の食事内容は変更せず、不足するたんぱく質のみを補う方法として食事時にプロテインを付加する取り組みを開始した。今回はその取り組みの経過について報告する。
【目的】低栄養状態または低栄養リスクのある利用者様に対し食事時にプロテインを付加し、血清アルブミン値(Alb)を中心とした栄養状態および身体機能への影響について検討した。
【方法】対象は令和6年6月から令和8年3月までに当施設へ入所し、低栄養状態または低栄養リスクが認められた8例(83~98歳、平均年齢91.5歳、要介護2~5)とした。対象者の選定は管理栄養士が食事摂取量、BMI、体重変化、血液データなどから栄養アセスメントを実施し、その結果をもとに腎機能が保たれ、経口摂取が可能で食事拒否やむせ込みがみられない利用者様を医師、看護師、介護職員、リハビリ職員など多職種で検討したうえで決定した。プロテインの選定についても医師を含む多職種で検討を行い味や風味がほとんど変わらず、粥や味噌汁、ミキサー食、飲み物などに混ぜやすく、溶けやすい乳清たんぱく質(粉末)を採用した。通常の食事からのたんぱく質摂取量は52~58g/日であり、これに加えて食事時に約15g/日のプロテインを付加した。介入後は約3~6か月ごとに血液検査を実施しAlb、BUNを確認するとともに体重、BMI、食事摂取状況、自力摂取、ADL、歩行状態、褥瘡、浮腫などについて経過を観察した。
【結果】対象8例のうち6例でAlbの改善を認めた。また、血液データだけでなく、食事姿勢や歩行状態の改善、自力摂取が可能となった症例、褥瘡の改善、浮腫の軽減など、利用者様の日常生活にも良い変化がみられた。特に1例では、高カロリー食品を付加しても改善がみられなかった褥瘡が、プロテイン付加後に改善した。Albの改善がみられなかった2例ではBUNの上昇を認め、医師の判断によりプロテインを中止した。その後もADLの大きな低下は認めなかった。体重は症例によって増減がみられたものの、Albや身体機能の改善が認められる症例が多かった。
【考察】今回の取り組みでは、8例中6例でAlbの改善がみられ、食事姿勢や歩行状態、自力摂取、褥瘡、浮腫など改善が認められた。高齢者では食事量を増やすことが難しい場合が多く、通常の食事内容を大きく変更することなく不足するたんぱく質を補う方法は低栄養改善に有効な栄養介入の一つであると考えられた。また味や風味への影響が少ない製品を選定したことで利用者様の負担が少なく継続しやすかったことも改善につながったと考えられ、さらに自力摂取や歩行状態など生活機能改善がみられたことはリハビリテーション栄養の考え方を支持する結果であったと考えられる。一方、BUN上昇により中止となった症例も認められたことから高齢者へのたんぱく質付加では管理栄養士による栄養アセスメントだけでなく、医師をはじめとした多職種と情報共有を行い定期的な血液検査により安全性を確認しながら介入することが重要である。血液データの改善だけでなく、自力摂取や歩行状態、褥瘡など利用者様の生活機能にも変化がみられたことは栄養介入の重要性を示す結果であったと考える。また、本検討は少数例での報告であり今後も症例数を重ね、効果と安全性について継続して検討していきたい。
【まとめ】食事時のプロテイン付加は低栄養状態にある利用者様の栄養改善に有効である可能性が示唆された。また、Albだけでなく、自力摂取やADL、褥瘡などの改善も認められた。今後も血液検査、栄養評価を元に多職種と連携しながら安全な栄養介入を実施し、利用者様一人ひとりに適した栄養管理を継続していきたい。
【目的】低栄養状態または低栄養リスクのある利用者様に対し食事時にプロテインを付加し、血清アルブミン値(Alb)を中心とした栄養状態および身体機能への影響について検討した。
【方法】対象は令和6年6月から令和8年3月までに当施設へ入所し、低栄養状態または低栄養リスクが認められた8例(83~98歳、平均年齢91.5歳、要介護2~5)とした。対象者の選定は管理栄養士が食事摂取量、BMI、体重変化、血液データなどから栄養アセスメントを実施し、その結果をもとに腎機能が保たれ、経口摂取が可能で食事拒否やむせ込みがみられない利用者様を医師、看護師、介護職員、リハビリ職員など多職種で検討したうえで決定した。プロテインの選定についても医師を含む多職種で検討を行い味や風味がほとんど変わらず、粥や味噌汁、ミキサー食、飲み物などに混ぜやすく、溶けやすい乳清たんぱく質(粉末)を採用した。通常の食事からのたんぱく質摂取量は52~58g/日であり、これに加えて食事時に約15g/日のプロテインを付加した。介入後は約3~6か月ごとに血液検査を実施しAlb、BUNを確認するとともに体重、BMI、食事摂取状況、自力摂取、ADL、歩行状態、褥瘡、浮腫などについて経過を観察した。
【結果】対象8例のうち6例でAlbの改善を認めた。また、血液データだけでなく、食事姿勢や歩行状態の改善、自力摂取が可能となった症例、褥瘡の改善、浮腫の軽減など、利用者様の日常生活にも良い変化がみられた。特に1例では、高カロリー食品を付加しても改善がみられなかった褥瘡が、プロテイン付加後に改善した。Albの改善がみられなかった2例ではBUNの上昇を認め、医師の判断によりプロテインを中止した。その後もADLの大きな低下は認めなかった。体重は症例によって増減がみられたものの、Albや身体機能の改善が認められる症例が多かった。
【考察】今回の取り組みでは、8例中6例でAlbの改善がみられ、食事姿勢や歩行状態、自力摂取、褥瘡、浮腫など改善が認められた。高齢者では食事量を増やすことが難しい場合が多く、通常の食事内容を大きく変更することなく不足するたんぱく質を補う方法は低栄養改善に有効な栄養介入の一つであると考えられた。また味や風味への影響が少ない製品を選定したことで利用者様の負担が少なく継続しやすかったことも改善につながったと考えられ、さらに自力摂取や歩行状態など生活機能改善がみられたことはリハビリテーション栄養の考え方を支持する結果であったと考えられる。一方、BUN上昇により中止となった症例も認められたことから高齢者へのたんぱく質付加では管理栄養士による栄養アセスメントだけでなく、医師をはじめとした多職種と情報共有を行い定期的な血液検査により安全性を確認しながら介入することが重要である。血液データの改善だけでなく、自力摂取や歩行状態、褥瘡など利用者様の生活機能にも変化がみられたことは栄養介入の重要性を示す結果であったと考える。また、本検討は少数例での報告であり今後も症例数を重ね、効果と安全性について継続して検討していきたい。
【まとめ】食事時のプロテイン付加は低栄養状態にある利用者様の栄養改善に有効である可能性が示唆された。また、Albだけでなく、自力摂取やADL、褥瘡などの改善も認められた。今後も血液検査、栄養評価を元に多職種と連携しながら安全な栄養介入を実施し、利用者様一人ひとりに適した栄養管理を継続していきたい。
