講演情報
[20]低周波刺激 と 筋電フィードバック併用が筋活動指標(RMS/TURNS)に及ぼす影響:症例からの検討
*髙井 一志1、三村 知之之1 (1. 三豊総合病院企業団 リハビリテーション部)
キーワード:
S-EMG、RMS、Turns
(はじめに)表面筋電図(SEMG)では、積分値(Area)や中間周波数が用いられてきたが、近年は筋出力や運動単位動員をより直接反映する RMS、Turns、ppAMP/RMS が注目されている。RMS は筋線維の収縮力、Turns は干渉波の極性変化回数で運動単位動員を示し、ppAMP/RMS は発火の均質性を示す。筋原性障害では RMS 低下、神経原性障害では Turns 低下が特徴とされる。本研究では、馬尾障害と腓骨神経麻痺により長期間下垂足を呈した症例に対し、IVIS を用いた低周波刺激とSEMGフィードバックを併用し、その効果を RMS と Turns を中心に検証した。(説明と同意)発表に際して説明の上、同意を得ている。(症例紹介)40歳女性。転落により L4 破裂骨折、右脛骨骨折などを受傷し、右下肢 ORIF と L4 PLIF を施行した。リハビリ開始時より右下垂足を認め、L5 神経根障害と腓骨神経麻痺が疑われた。NCS では腓骨神経麻痺は軽度で、健側脛骨神経の F 波最小潜時延長や後期成分より主因は馬尾障害と判断した。前脛骨筋の萎縮は乏しく、術後19か月の針筋電図で随意収縮を確認。NCS でも MCV 43.8 m/s、CMAP 1.42 mV、F 波出現率 50% と回復を認め、神経機能改善が示唆されたため、IVIS 併用フィードバックを開始した。(SEMG の結果)フィードバック単独と IVES 併用を ABBA デザインで比較した。いずれも Area 増加を示したが、フィードバック後に IVES を行うと 56%増加し、逆順では 10%と小さかった。フィードバック2セットでは2セット目の増加は21%であったが、IVES2セットでは2%と小さかった。Area 増加要因をみると、IVES1回目では RMS と Turns が明瞭に増加し、筋線維収縮力と運動単位動員が高まったと考えられた。一方、2回目では RMS がわずかに低下し、Area と Turns も小幅に減少した。これは1回目で動員が最大限近くまで引き上げられ、追加的増加が生じにくかった考えられた。ppAMP/RMS は大きな変動を示さず、発火のばらつきは安定していた。(考察)IVIS 併用は Area、RMS、Turns を短時間で増加させ、運動単位動員の改善を示唆した。電気刺激は軸索成長や神経栄養因子発現を促進するとされ、本症例でも回復期に介入したことで効果が高まった可能性がある。また、不動による脊髄興奮性低下が報告されており、本症例の RMS・Turns 低下も廃用性変化を反映したと考えられる。さらに低電流反復刺激が馬尾障害に有効との報告もあり、本症例でも同様の作用が働いた可能性がある。IVES は下降性入力の低下を上行性刺激が補い、短時間で改善をもたらしたと推察される。以上より、IVES 併用は筋活動の即時改善と廃用性変化の改善に寄与し、神経機能回復期の症例に有効な選択肢となり得ることが示唆された。
