講演情報

[67]臨床実習前後の不安変化からみた学生支援の課題と展望

*逢坂 幸佳1 (1. 四国医療専門学校)

キーワード:

臨床実習、不安、学生支援

【目的】
 学生にとって臨床実習は、対象者への評価、治療の実施だけでなく、コミュニケーションや信頼関係の構築など、多面的な不安を伴う。特に初めて経験する評価実習および臨床実習では、その不安はより一層強くなることが予想される。本研究の目的は、実習前後における学生の不安の変化を把握し、今後の支援体制の検討に資することである。
【方法】
 対象は、理学療法学科3年生39名とした。調査は、評価実習開始前および臨床実習終了後に、NRSで0〜10の11段階を用いて無記名にてGoogle Formで実施した。アンケート項目は、先行研究を参考に作成し、対人関係5項目、自己の能力4項目、実践6項目、生活面3項目の計18項目とした。統計解析にはJSTATを用い、実習前後の比較にはWilcoxon順位和検定を実施し、有意水準は5%とした。
【倫理的配慮,説明と同意】
 本校倫理委員会(承認番号:07-04-02)の承認を得たうえで、対象者に紙面と口頭で説明し、同意を得て実施した。
【結果】
 アンケート回収率は実習前100%、実習後94.9%であった。実習前後で有意に不安が減少した項目は、指導者に声をかけられないは、実習前7.0が実習後3.0、指導者と対人関係が築けるは、実習前6.0が実習後3.0、相談できる人がいないは、実習前4.0が実習後1.0、スタッフが学生を受け入れてくれるは、実習前6.0が実習後2.0、失敗するは、実習前8.0が実習後4.0、実習記録が書けるは、実習前5.0が実習後3.0、実習中の課題量が多いは、実習前5.0が実習後3.0、受け持ち患者とのコミュニケーションがとれるは、実習前5.0が実習後2.0、実習記録が多いは、実習前6.0が実習後3.0、受け持ち患者に拒否されるは、実習前5.0が実習後2.0、朝起きられないは、実習前7.0が実習後3.0。一方、差を認めなかったのは、指導者に自分の意見を伝えられるは、実習前7.0が実習後5.0、質問に答えられるは、実習前8.0が実習後5.0、患者の変化に追いつけるは、実習前7.0が実習後4.0、評価、治療が実施できるは、実習前8.0が実習後5.0、状態に合わせて工夫できるは、実習前7.0が実習後5.0、睡眠がとれないは、実習前5.0が実習後3.0、食事が十分に摂れるは、実習前4.0が実習後2.0。
【考察】
 対人関係および自己能力に関する多くの項目で不安が軽減した背景には、臨床実習指導者講習会やCCS導入による学生への配慮が影響したと考えられる。一方、実践面の不安が軽減しなかったのは、初回実習で直接的な経験が不足しているためと推察される。また生活面の不安に差がみられなかったのは、実習前の不安が他項目と比較して高くなかったためと考える。今後は、実践能力に関する不安を軽減できるよう、実習前教育の充実や指導体制の整備が求められる。