講演情報
[55]末期心不全患者に対して継続した心臓リハビリテーションと多職種連携により自宅退院を達成した一例
*山下 旦陽1 (1. 市立宇和島病院 リハビリテーション科)
キーワード:
心臓リハビリテーション、多職種連携、トランスサイレチン型アミロイドーシス
【はじめに、目的】
トランスサイレチン型アミロイドーシス(ATTR-CM)による心不全ステージDの心不全患者に対し実施した、心臓リハビリテーション(心リハ)によりActivities Daily Living (ADL)低下を最小限に留め、多職種連携、ご家族の協力により希望である自宅退院を達成することができたため報告する。
【倫理的配慮、説明と同意】
本症例の報告にあたり、目的、方法、個人情報の保護について対象者に口頭で十分に説明し、発表の同意を得た。
【症例情報】
80歳代、男性。BMI:22.7kg/㎡、自宅内にて歩行器を使用しトイレ歩行自立、要介護2。既往歴として手根管症候群、両側変形性膝関節症、小児麻痺(右麻痺)、半年間で心不全入院を3回繰り返している。今回倦怠感の増悪、食事摂取困難、心不全悪化のため入院となる。
初期評価時、NYHA分類Ⅲ、握力(右/左):19.0/23.5kg、等尺性膝伸展筋力体重比:0.29/0.35kgf/kg、Short Physical Performance Battery:0/12点、Barthel Index(減点項目):5点(食事以外0点)、J-CHS基準にて、体重減少を除く4項目に該当しフレイルを認めた。第2病日よりベッドサイドにて心リハ開始となる。
【臨床経過】
自宅退院の希望があり、基本動作の再獲得を目標とした心リハを開始した。しかし、労作時の呼吸困難感が持続し、改善が得られないため、第15病日に胸水穿刺、第18病日に心膜腔穿刺を施行した。倦怠感は一時的に改善したが、第29病日に胸水、心膜液の再貯留を認め倦怠感も増悪した。第31病日より看取り方針となりモルヒネを開始した。モルヒネ服用後、倦怠感がわずかに改善したため本人、ご家族と今後の希望を再確認したところ、自宅退院を希望された。そこで多職種で介入を再検討し、倦怠感の少ない状況では離床を進め、主治医よりモルヒネの自宅での使用が許可され、自宅にポータブルトイレを導入し、第39病日に自宅退院となった。
【考察】
本症例は多職種連携による心リハを実施することで自宅退院に至った末期心不全症例である。ATTR-CM患者では、骨格筋機能障害に伴う筋代謝反射亢進が呼吸困難や運動耐容能低下に関与すると報告されている。また、終末期心不全においてもQuality of Lifeや身体機能維持を目的とした多職種による包括的介入の重要性が示されている。本症例は、倦怠感によりベッド上で過ごされることが多く、看取りの方針であったが、ベッドサイドでのResistance Trainingを継続的に実施することで、骨格筋機能維持を介して症状緩和やADL維持に寄与したと考える。さらに、多職種連携のもと患者・家族支援や環境調整を含めた包括的介入を実施したことにより、目標である自宅退院につながったと考える。
トランスサイレチン型アミロイドーシス(ATTR-CM)による心不全ステージDの心不全患者に対し実施した、心臓リハビリテーション(心リハ)によりActivities Daily Living (ADL)低下を最小限に留め、多職種連携、ご家族の協力により希望である自宅退院を達成することができたため報告する。
【倫理的配慮、説明と同意】
本症例の報告にあたり、目的、方法、個人情報の保護について対象者に口頭で十分に説明し、発表の同意を得た。
【症例情報】
80歳代、男性。BMI:22.7kg/㎡、自宅内にて歩行器を使用しトイレ歩行自立、要介護2。既往歴として手根管症候群、両側変形性膝関節症、小児麻痺(右麻痺)、半年間で心不全入院を3回繰り返している。今回倦怠感の増悪、食事摂取困難、心不全悪化のため入院となる。
初期評価時、NYHA分類Ⅲ、握力(右/左):19.0/23.5kg、等尺性膝伸展筋力体重比:0.29/0.35kgf/kg、Short Physical Performance Battery:0/12点、Barthel Index(減点項目):5点(食事以外0点)、J-CHS基準にて、体重減少を除く4項目に該当しフレイルを認めた。第2病日よりベッドサイドにて心リハ開始となる。
【臨床経過】
自宅退院の希望があり、基本動作の再獲得を目標とした心リハを開始した。しかし、労作時の呼吸困難感が持続し、改善が得られないため、第15病日に胸水穿刺、第18病日に心膜腔穿刺を施行した。倦怠感は一時的に改善したが、第29病日に胸水、心膜液の再貯留を認め倦怠感も増悪した。第31病日より看取り方針となりモルヒネを開始した。モルヒネ服用後、倦怠感がわずかに改善したため本人、ご家族と今後の希望を再確認したところ、自宅退院を希望された。そこで多職種で介入を再検討し、倦怠感の少ない状況では離床を進め、主治医よりモルヒネの自宅での使用が許可され、自宅にポータブルトイレを導入し、第39病日に自宅退院となった。
【考察】
本症例は多職種連携による心リハを実施することで自宅退院に至った末期心不全症例である。ATTR-CM患者では、骨格筋機能障害に伴う筋代謝反射亢進が呼吸困難や運動耐容能低下に関与すると報告されている。また、終末期心不全においてもQuality of Lifeや身体機能維持を目的とした多職種による包括的介入の重要性が示されている。本症例は、倦怠感によりベッド上で過ごされることが多く、看取りの方針であったが、ベッドサイドでのResistance Trainingを継続的に実施することで、骨格筋機能維持を介して症状緩和やADL維持に寄与したと考える。さらに、多職種連携のもと患者・家族支援や環境調整を含めた包括的介入を実施したことにより、目標である自宅退院につながったと考える。
