講演情報

[61]ミトコンドリア心筋症患者の運動耐容能と体組成の特徴-CPX・BIA法による検討-

*手塚 章夫1、加藤 渉1、森田 伸1 (1. 香川大学医学部附属病院 医療技術部 リハビリテーション部門)

キーワード:

ミトコンドリア心筋症、CPX、BIA法

【目的】
 ミトコンドリア心筋症は酸化的リン酸化障害が生じるミトコンドリア病の合併症であり、病態解明されていない希少疾患である。今回、心肺運動負荷試験(CPX)、生体インピーダンス法(BIA法)にて得られたミトコンドリア心筋症患者3例の身体的特徴を報告する。
【方法】
 対象は、成人期に診断された当院通院中のミトコンドリア心筋症患者3例でCPXとBIA法にて運動耐容能と体組成を評価した。3例共にミトコンドリア病に伴う脳卒中様発作、失調症状は認めない。
【倫理的配慮】
 ヘルシンキ宣言に基づき実施し、口頭および書面にて同意を得た。
【結果】
[症例A:30代男性]
peakVO2:8.9ml/kg/min(基準値比0.30)、AT:6.7ml/kg/min(基準値比0.41)、AT時Borg :呼吸11下肢11
BMI:40.1kg/m2、体脂肪率:41.9%、ECW/TBW:43.6%
骨格筋指数:9.89kg/m2、フェーズアングル:5.0°
EF:24%、NT-proBNP:1256pg/ml、HbA1c:6.3%
[症例B:30代女性]
peakVO2:12.0ml/kg/min(基準値比0.45)AT:8.4ml/kg/min(基準値比0.51)、AT時Borg :呼吸9下肢11
BMI:39.3kg/m2、体脂肪率:45.1%、ECW/TBW:43.9%
骨格筋指数:9.40kg/m2、フェーズアングル:5.2°
EF:23%、NT-proBNP:199pg/ml、HbA1c:6.8%
[症例C:50代男性]
peakVO2:13.6ml/kg/min(基準値比0.51)、AT:11.5ml/kg/min(基準値比0.71)、AT時Borg:呼吸9下肢11
BMI:33.3kg/m2、体脂肪率:35.3%、ECW/TBW:41.5%
骨格筋指数:9.11kg/m2、フェーズアングル:6.5°
EF:57%、NT-proBNP:36pg/ml、HbA1c:6.0%
【考察】
 3例に共通して肥満を認めており、ミトコンドリア病に伴う糖代謝異常による過度な脂肪蓄積が考えられる。症例A、Bの骨格筋の状態は明らかな不良ではないが、NT-proBNP上昇とEF低下を認め、低心機能であり著明な運動耐容能低下を認めた。症例Cは骨格筋の状態は良好かつ心機能も維持されていたが、peakVO2とATの基準値比は0.51、0.71であり、運動耐容能低下を認めた。一般的に骨格筋の状態が良好であれば、酸化的リン酸化は賦活し、運動耐容能は高くなるが、ミトコンドリア病では、その働きが障害されるため、症例Cにおいても明らかな低下が生じた可能性がある。他の要因として、脂肪組織は酸素利用能が低く、肥満の影響も考えられる。また、AT時の自覚的強度はBorg9~11(かなり楽~楽)であり、乖離を認め、自覚なく過負荷が生じやすい特性が示唆された。