講演情報
[25]転倒未遂を予測する歩行生体力学因子の同定~推進力、体幹動揺、非対称性からの包括的解析~
*長田 悠路1、小林 庸介2、大須賀 智2 (1. 徳島文理大学、2. 中伊豆リハビリテーションセンター)
キーワード:
片麻痺患者、三次元動作解析、転倒未遂
【はじめに,目的】脳卒中後の転倒予防はリハビリテーションにおける重要課題である。これまで転倒関連因子の検討では,過去の転倒歴に基づき転倒群と非転倒群を分類した研究が多い。しかし,転倒歴と歩行計測時点との時間的乖離により,実際の歩行不安定性を十分に反映できない可能性がある。本研究は,歩行解析中に実際に転倒未遂を呈した対象者を抽出し,同一セッション内で得られた通常歩行試行を解析することで,転倒未遂に関連する歩行力学的因子を明らかにすることを目的とした。
【方法】対象は,三次元動作解析装置(VICON)による歩行解析中に転倒未遂を呈した脳卒中片麻痺者94名(転倒未遂群)と,転倒未遂を認めなかった116名(非転倒未遂群)とした。両群共に通常歩行試行から,推進関連指標としてtrailing limb angle(TLA)およびlate braking force(LBF),体幹回旋・側屈・屈伸角度変化量,時間・空間的左右対称性指標,歩行速度を算出した。単変量および多変量ロジスティック回帰分析を行い,転倒未遂との関連因子を検討した。またROC解析により判別性能を評価した。
【倫理的配慮,説明と同意】本研究は所属施設の倫理審査委員会の承認を得て実施した。対象者には研究内容を十分説明し,書面にて同意を得た。
【結果】単変量解析では,歩行速度低下,体幹回旋角度変化量増大,TLA低下,LBF低下,歩行対称性低下が転倒未遂と関連した。多変量解析では,歩行速度で調整後もTLAは独立して転倒未遂と関連し(OR=0.08,p<0.001),体幹回旋角度変化量も関連を示した(OR=1.71,p=0.023)。モデルの判別性能は高値を示し(AUC=0.92),TLA単独でも高い判別性能を示した(AUC=0.91)。Youden indexに基づく最適カットオフ値は0.16度(感度0.85、特異度0.87)であった。方向別解析では,TLA低下は全方向の転倒未遂に関連し,体幹回旋角度変化量は側方転倒未遂に特異的に関連した。
【考察】本研究は,実際に転倒未遂を呈した対象者を同時点の歩行データに基づいて分類することで,転倒未遂に関連する歩行特性を高精度に抽出した。算出されたTLAのカットオフ値から、歩行時に麻痺側股関節が0度以上伸展していない患者については特に転倒のリスクが高いことが示されたのは臨床的に意義深い。TLA低下は推進力不足を示すだけでなく、麻痺側足部と重心位置の距離が近いため、後方への不安定性が容易に生じやすいことも推察できる。歩行時のTLAは視覚的に容易に確認できるため、片麻痺患者の歩行自立判定では有用な指標となるだろう。また体幹回旋制御障害は側方不安定性に関与することが示唆された。これらの知見は,脳卒中片麻痺者の転倒予防評価および介入戦略の構築に有用な指標となる可能性がある。
【方法】対象は,三次元動作解析装置(VICON)による歩行解析中に転倒未遂を呈した脳卒中片麻痺者94名(転倒未遂群)と,転倒未遂を認めなかった116名(非転倒未遂群)とした。両群共に通常歩行試行から,推進関連指標としてtrailing limb angle(TLA)およびlate braking force(LBF),体幹回旋・側屈・屈伸角度変化量,時間・空間的左右対称性指標,歩行速度を算出した。単変量および多変量ロジスティック回帰分析を行い,転倒未遂との関連因子を検討した。またROC解析により判別性能を評価した。
【倫理的配慮,説明と同意】本研究は所属施設の倫理審査委員会の承認を得て実施した。対象者には研究内容を十分説明し,書面にて同意を得た。
【結果】単変量解析では,歩行速度低下,体幹回旋角度変化量増大,TLA低下,LBF低下,歩行対称性低下が転倒未遂と関連した。多変量解析では,歩行速度で調整後もTLAは独立して転倒未遂と関連し(OR=0.08,p<0.001),体幹回旋角度変化量も関連を示した(OR=1.71,p=0.023)。モデルの判別性能は高値を示し(AUC=0.92),TLA単独でも高い判別性能を示した(AUC=0.91)。Youden indexに基づく最適カットオフ値は0.16度(感度0.85、特異度0.87)であった。方向別解析では,TLA低下は全方向の転倒未遂に関連し,体幹回旋角度変化量は側方転倒未遂に特異的に関連した。
【考察】本研究は,実際に転倒未遂を呈した対象者を同時点の歩行データに基づいて分類することで,転倒未遂に関連する歩行特性を高精度に抽出した。算出されたTLAのカットオフ値から、歩行時に麻痺側股関節が0度以上伸展していない患者については特に転倒のリスクが高いことが示されたのは臨床的に意義深い。TLA低下は推進力不足を示すだけでなく、麻痺側足部と重心位置の距離が近いため、後方への不安定性が容易に生じやすいことも推察できる。歩行時のTLAは視覚的に容易に確認できるため、片麻痺患者の歩行自立判定では有用な指標となるだろう。また体幹回旋制御障害は側方不安定性に関与することが示唆された。これらの知見は,脳卒中片麻痺者の転倒予防評価および介入戦略の構築に有用な指標となる可能性がある。
