講演情報
[27]進行性核上性麻痺患者のすくみ足に対する段階的歩行練習
-シングルケースデザインAB法による検討-
*中山 智晴1,2、森岡 千晴1、鍋島 練1、﨑山 誠也1、貴田 陽大1、山﨑 裕司3、松下 拓也2 (1. 須崎くろしお病院 リハビリテーション部、2. 高知大学医学部 脳神経内科学、3. 高知リハビリテーション専門職大学 理学療法学専攻)
キーワード:
進行性核上性麻痺、すくみ足、歩行練習
【はじめに,目的】進行性核上性麻痺(PSP)ではすくみ足(FOG)を呈する頻度が高く,転倒に関連する重大な症状であるが,治療介入が難しい症状である.今回,著明なFOGを有するPSP症例に対し,難易度を段階的に設定した歩行練習を実施し,その効果を検討した.
【方法】症例は75歳女性.PSP罹患期間3年,L-dopa処方量300 mg/day,Hoehn & Yahr stage IVであった.X日に転倒による顔面・頭部打撲と貧血で入院し,第4病日よりリハビリテーションを開始した.入院前ADLは伝い歩きレベルで,転倒を反復していた.介入前評価では下方注視障害を認め,Mini Mental State Examination 18点,New Freezing of Gait Questionnaire(NFOG-Q)25/28点(すくみが非常に多い),改訂版パーキンソン病統一評価スケール(MDS-UPDRS)Part Ⅲ 32点(歩行4点,立ち上がり2点),10 m快適歩行速度0.25 m/sec(73歩)であった.シングルケースデザインAB法を用い,A期(4日間)は踵補高に加え,視覚的cueと上肢振りを大きくする口頭指示による歩行練習を実施した.B期(5~13日目)は踵補高を除去し,①大きく足を上げる直線歩行,②周回歩行,③上肢振り追加,④60 cm間隔コーン通過,⑤5 m間隔方向転換,⑥5 m間隔8の字歩行,⑦3 m間隔8の字歩行,⑧1.5 m間隔スラローム歩行の8段階練習を順次実施した.各日にTimed Up and Go test(TUG)を測定し,両期間とも起立反復やステッピング練習を併用した.
【倫理的配慮,説明と同意】所属機関倫理委員会の承認(R-8-03)を得て,「ヘルシンキ宣言」および倫理指針に従い実施した.対象者には研究内容を説明し,書面にて同意を得た.
【結果】TUGはA期29.8,28.7,26.6,27.6秒,B期24.5,19.5,19.1,17.8,16.4,14.4,13.4,16.9,14.6秒であった.介入後,10 m快適歩行速度は0.90 m/sec(31歩)に改善した.NFOG-Qは23/28点,MDS-UPDRS Part Ⅲは25点となり,項目別では歩行2点,立ち上がり1点へ改善した.本人から「足が出しやすい」との発言が得られた.
【考察】PSP患者では運動プログラミング能力が低下しており(Defebvre, 1999),外的Cueを明確かつ即時的に与える環境操作が有効とされる(Clerici, 2017).しかし本症例は下方注視障害を認め,A期の結果からも下方を見て障害物をまたぐような方法は有効ではなかった.一方,B期では段階の進行に伴いTUG時間が徐々に短縮した.本症例では,容易に歩行可能な条件から徐々に難易度を高める段階的歩行練習の有効性が示唆された.
【方法】症例は75歳女性.PSP罹患期間3年,L-dopa処方量300 mg/day,Hoehn & Yahr stage IVであった.X日に転倒による顔面・頭部打撲と貧血で入院し,第4病日よりリハビリテーションを開始した.入院前ADLは伝い歩きレベルで,転倒を反復していた.介入前評価では下方注視障害を認め,Mini Mental State Examination 18点,New Freezing of Gait Questionnaire(NFOG-Q)25/28点(すくみが非常に多い),改訂版パーキンソン病統一評価スケール(MDS-UPDRS)Part Ⅲ 32点(歩行4点,立ち上がり2点),10 m快適歩行速度0.25 m/sec(73歩)であった.シングルケースデザインAB法を用い,A期(4日間)は踵補高に加え,視覚的cueと上肢振りを大きくする口頭指示による歩行練習を実施した.B期(5~13日目)は踵補高を除去し,①大きく足を上げる直線歩行,②周回歩行,③上肢振り追加,④60 cm間隔コーン通過,⑤5 m間隔方向転換,⑥5 m間隔8の字歩行,⑦3 m間隔8の字歩行,⑧1.5 m間隔スラローム歩行の8段階練習を順次実施した.各日にTimed Up and Go test(TUG)を測定し,両期間とも起立反復やステッピング練習を併用した.
【倫理的配慮,説明と同意】所属機関倫理委員会の承認(R-8-03)を得て,「ヘルシンキ宣言」および倫理指針に従い実施した.対象者には研究内容を説明し,書面にて同意を得た.
【結果】TUGはA期29.8,28.7,26.6,27.6秒,B期24.5,19.5,19.1,17.8,16.4,14.4,13.4,16.9,14.6秒であった.介入後,10 m快適歩行速度は0.90 m/sec(31歩)に改善した.NFOG-Qは23/28点,MDS-UPDRS Part Ⅲは25点となり,項目別では歩行2点,立ち上がり1点へ改善した.本人から「足が出しやすい」との発言が得られた.
【考察】PSP患者では運動プログラミング能力が低下しており(Defebvre, 1999),外的Cueを明確かつ即時的に与える環境操作が有効とされる(Clerici, 2017).しかし本症例は下方注視障害を認め,A期の結果からも下方を見て障害物をまたぐような方法は有効ではなかった.一方,B期では段階の進行に伴いTUG時間が徐々に短縮した.本症例では,容易に歩行可能な条件から徐々に難易度を高める段階的歩行練習の有効性が示唆された.
