講演情報
[31]本市高齢者の運転寿命延伸に向けた取り組み
-シニア向けセーフティドライバー事業の短期的効果について-
*高岡 克宜1 (1. 鳴門市役所 健康福祉部 長寿介護課)
キーワード:
介護予防、健康寿命延伸、運転寿命延伸
【はじめに,目的】
高齢者の運転免許返納に伴い生活範囲が狭小化し要介護認定リスクが上昇することが既に報告されている(shimada.etal.2016).また,内閣府の調査において地方都市高齢者の外出手段は自家用車が多く,代替となる公共交通機関が少ない本市高齢者にとって自家用車の運転は欠かせない移動手段の一つである.運転免許返納は事故を防止する上で必要であるが,同時に返納に至るまで安全に運転ができる期間を延伸することも重要である.そこで,本市では運転能力の確認を行うとともに,安全に運転する能力を維持する方法を教えるシニア向けセーフティドライバー事業を開催し,その短期的効果について調査した.
【方法】
対象は令和7年度シニア向けセーフティドライバー事業に参加した37名のうち除外基準(初日と最終日に参加していない方)に該当しない29名(男性14名,女性15名,平均年齢76.0±5.2歳)とした.事業内容は1期3か月(全6回)の講座とし,初日と最終日に教習所での実車教習(運転技能評価)の他,身体機能(握力,SPPB,歩行速度,TUG)や認知機能(語想起,時計描画,かなひろいテスト)測定,高齢運転者のための運転行動チェックリスト(内閣府)を評価した.また,2日目から5日目には本市リハビリテーション専門職によるトレーニングに加え交通安全講座や応急処置講座等を実施した.事業効果を検証するため,初日と最終日の各指標をpaired t-test,Wilcoxon signed rank testを用いて解析しEffect sizeを算出した.全ての有意水準は5%とした.
【倫理的配慮,説明と同意】
本市で得られたデータは情報漏洩の問題がないように専用の介護予防台帳システムに保存され,開示する際は個人が特定できないように配慮している.
【結果】
測定を実施した身体機能指標のうち5回立ち上がりテストは7.2(4.2-12.5)secから6.7(4.5‐14.6)secと改善の傾向を示した(p=0.072,r=0.335).また,認知機能指標においてはかなひろいテストが38.4±9.3個から40.7±8.2個と改善を認めた(p<0.05,r=0.376).さらに,運転技能指標においては60(20-80)点から90(70-100)点と改善を認めた(p<0.05,r=0.843).
【考察】
3か月間(計6回)という短期間の事業においても,身体機能,認知機能,運転技能について何らかの改善を示し,その他の指標は低下せずに維持されていた.高齢者の運転技能は実車によるトレーニングによって改善することが示されており(Ishii.etal.2023),本事業は本市高齢者にとって重要な介護予防施策になることが示唆された.今後は長期的な視点で健康寿命延伸,運転寿命延伸に向けた取り組みを実践する必要があると考える.
高齢者の運転免許返納に伴い生活範囲が狭小化し要介護認定リスクが上昇することが既に報告されている(shimada.etal.2016).また,内閣府の調査において地方都市高齢者の外出手段は自家用車が多く,代替となる公共交通機関が少ない本市高齢者にとって自家用車の運転は欠かせない移動手段の一つである.運転免許返納は事故を防止する上で必要であるが,同時に返納に至るまで安全に運転ができる期間を延伸することも重要である.そこで,本市では運転能力の確認を行うとともに,安全に運転する能力を維持する方法を教えるシニア向けセーフティドライバー事業を開催し,その短期的効果について調査した.
【方法】
対象は令和7年度シニア向けセーフティドライバー事業に参加した37名のうち除外基準(初日と最終日に参加していない方)に該当しない29名(男性14名,女性15名,平均年齢76.0±5.2歳)とした.事業内容は1期3か月(全6回)の講座とし,初日と最終日に教習所での実車教習(運転技能評価)の他,身体機能(握力,SPPB,歩行速度,TUG)や認知機能(語想起,時計描画,かなひろいテスト)測定,高齢運転者のための運転行動チェックリスト(内閣府)を評価した.また,2日目から5日目には本市リハビリテーション専門職によるトレーニングに加え交通安全講座や応急処置講座等を実施した.事業効果を検証するため,初日と最終日の各指標をpaired t-test,Wilcoxon signed rank testを用いて解析しEffect sizeを算出した.全ての有意水準は5%とした.
【倫理的配慮,説明と同意】
本市で得られたデータは情報漏洩の問題がないように専用の介護予防台帳システムに保存され,開示する際は個人が特定できないように配慮している.
【結果】
測定を実施した身体機能指標のうち5回立ち上がりテストは7.2(4.2-12.5)secから6.7(4.5‐14.6)secと改善の傾向を示した(p=0.072,r=0.335).また,認知機能指標においてはかなひろいテストが38.4±9.3個から40.7±8.2個と改善を認めた(p<0.05,r=0.376).さらに,運転技能指標においては60(20-80)点から90(70-100)点と改善を認めた(p<0.05,r=0.843).
【考察】
3か月間(計6回)という短期間の事業においても,身体機能,認知機能,運転技能について何らかの改善を示し,その他の指標は低下せずに維持されていた.高齢者の運転技能は実車によるトレーニングによって改善することが示されており(Ishii.etal.2023),本事業は本市高齢者にとって重要な介護予防施策になることが示唆された.今後は長期的な視点で健康寿命延伸,運転寿命延伸に向けた取り組みを実践する必要があると考える.
