講演情報
[21]後天性血友病患者に対する理学療法介入
~患者教育を通じた身体活動への不安軽減に着目して~
*真鍋 透1、宮木 鉄平1、山田 貴代1、山之内 純2 (1. 愛媛大学医学部附属病院 リハビリテーション部、2. 愛媛大学医学部附属病院 輸血・細胞治療部)
キーワード:
後天性血友病、理学療法、患者教育
【はじめに,目的】
後天性血友病は、凝固因子に対する自己抗体の出現により血液凝固異常を呈する疾患であり、出血や再出血への不安に加え、止血管理に伴う長期安静により活動性低下やADL低下をきたしやすい。しかし、後天性血友病患者に対する理学療法介入に関する報告は少なく、明確な介入指針は示されていない。今回、活動性低下を呈した後天性血友病患者に対し、患者教育を含む理学療法介入を経験したため報告する。
【方法】
症例は59歳女性、後天性血友病(自己免疫性後天性凝固第13因子欠乏症)により易出血性を呈し左大腿血腫および右鼠径部血管外出血を認めた。X日に経カテーテル動脈塞栓術(TAE)が施行され、X+7日より理学療法介入を開始した。血腫形成に伴い、介入時の左膝関節伸展可動域は−20°であった。また、「本当に動けるようになるのか」との発言を認めた。介入初期はベッド上運動のみ許可されていた。X+14日より離床が許可され、歩行練習を開始した。以後、毎週医師と血液データおよび出血状況を確認しながら運動負荷を漸増した。運動強度はBorg Scale 11~13を目安とした。また、患者教育としてパンフレットを用いて身体活動と出血リスクの関係について説明し、動画を用いた視覚的フィードバックも行い不安軽減を図った。看護師とも情報共有を行い、安全な動作方法の指導および自主練習の継続を支援した。
【倫理的配慮,説明と同意】
本報告はヘルシンキ宣言に基づき、本人に説明し同意を得た。
【結果】
介入2週目には自主練習を継続して実施可能となり、活動への前向きな発言が増加した。3週目には監視下で歩行器歩行が150m可能となり、トイレ移動が自立レベルとなった。4週目に歩行器歩行が病棟内自立レベルとなり、手すり歩行を開始した。最終評価時には手すり歩行が病棟内自立レベルとなり、手すり使用下での階段昇降が可能となった。また、「動くことへの怖さはなくなった」との発言を認めた。初期評価時と比較し、左膝関節可動域は屈曲70°/伸展−20°から130°/0°、10m歩行速度は0.9m/sから1.1m/s、Short Physical Performance Battery(SPPB)は10点から11点、Barthel Index(BI)は40点から95点へ改善した。介入期間中に再出血は認めなかった。
【考察】
本症例では、出血管理に伴う安静指示に加え、再出血への不安から活動性低下を認めていた。後天性血友病患者に対する理学療法では、出血リスク管理に留意した段階的介入や病態を踏まえた患者教育が重要であると報告されている。本症例においても、凝固因子活性や自覚症状に留意しながら段階的な運動療法を実施した。さらに、患者教育や動画を用いた視覚的フィードバックにより身体活動への不安軽減につながり、活動範囲の拡大およびADL改善に寄与した可能性が考えられた。
後天性血友病は、凝固因子に対する自己抗体の出現により血液凝固異常を呈する疾患であり、出血や再出血への不安に加え、止血管理に伴う長期安静により活動性低下やADL低下をきたしやすい。しかし、後天性血友病患者に対する理学療法介入に関する報告は少なく、明確な介入指針は示されていない。今回、活動性低下を呈した後天性血友病患者に対し、患者教育を含む理学療法介入を経験したため報告する。
【方法】
症例は59歳女性、後天性血友病(自己免疫性後天性凝固第13因子欠乏症)により易出血性を呈し左大腿血腫および右鼠径部血管外出血を認めた。X日に経カテーテル動脈塞栓術(TAE)が施行され、X+7日より理学療法介入を開始した。血腫形成に伴い、介入時の左膝関節伸展可動域は−20°であった。また、「本当に動けるようになるのか」との発言を認めた。介入初期はベッド上運動のみ許可されていた。X+14日より離床が許可され、歩行練習を開始した。以後、毎週医師と血液データおよび出血状況を確認しながら運動負荷を漸増した。運動強度はBorg Scale 11~13を目安とした。また、患者教育としてパンフレットを用いて身体活動と出血リスクの関係について説明し、動画を用いた視覚的フィードバックも行い不安軽減を図った。看護師とも情報共有を行い、安全な動作方法の指導および自主練習の継続を支援した。
【倫理的配慮,説明と同意】
本報告はヘルシンキ宣言に基づき、本人に説明し同意を得た。
【結果】
介入2週目には自主練習を継続して実施可能となり、活動への前向きな発言が増加した。3週目には監視下で歩行器歩行が150m可能となり、トイレ移動が自立レベルとなった。4週目に歩行器歩行が病棟内自立レベルとなり、手すり歩行を開始した。最終評価時には手すり歩行が病棟内自立レベルとなり、手すり使用下での階段昇降が可能となった。また、「動くことへの怖さはなくなった」との発言を認めた。初期評価時と比較し、左膝関節可動域は屈曲70°/伸展−20°から130°/0°、10m歩行速度は0.9m/sから1.1m/s、Short Physical Performance Battery(SPPB)は10点から11点、Barthel Index(BI)は40点から95点へ改善した。介入期間中に再出血は認めなかった。
【考察】
本症例では、出血管理に伴う安静指示に加え、再出血への不安から活動性低下を認めていた。後天性血友病患者に対する理学療法では、出血リスク管理に留意した段階的介入や病態を踏まえた患者教育が重要であると報告されている。本症例においても、凝固因子活性や自覚症状に留意しながら段階的な運動療法を実施した。さらに、患者教育や動画を用いた視覚的フィードバックにより身体活動への不安軽減につながり、活動範囲の拡大およびADL改善に寄与した可能性が考えられた。
