講演情報
[28]HAL医療用下肢タイプによる神経筋疾患への歩行治療の短期効果の検証
*戸田 淳平1、安藤 利奈2、古本 太希1、小野 滉介1、宮上 紀之2、明地 雄司3、宮木 鉄平1、山田 貴代1、鴻上 繁1、永井 将弘2 (1. 愛媛大学医学部附属病院 リハビリテーション部、2. 愛媛大学医学部附属病院 臨床薬理神経内科、3. 愛媛大学医学部附属病院 脳神経内科)
キーワード:
HAL医療用下肢タイプ、神経筋疾患、短期効果
【はじめに,目的】
近年,Hybrid Assistive Limb®(HAL)医療用下肢タイプを用いた歩行治療が神経筋疾患に対して導入され,治験における主要評価項目として有効性が示された2分間歩行距離テストによる歩行機能の改善が報告されている。しかし,神経筋疾患は進行性疾患であり,患者への負担がより少ない歩行評価指標が望ましいがその選定に苦慮することが多い。そこで本研究は,当院における神経筋疾患患者に対するHAL歩行治療の短期効果を検証し,アウトカム選定および介入方法の一助とすることを目的とした。
【方法】
対象は2021年6月から2026年3月にHAL歩行治療を実施した神経筋疾患患者12例(年齢72.5[62.3-75.3]歳,男性7例,女性5例)とした。対象疾患は筋萎縮性側索硬化症2例,封入体筋炎2例,筋強直性ジストロフィー1型1例,球脊髄性筋萎縮症3例,HTLV-1関連脊髄症3例,遠位型ミオパチー1例であった。研究デザインは後ろ向き研究とし,診療録よりデータを抽出した。HALはCybernic Voluntary ControlおよびCybernic Impedance Controlモードにて実施した。評価項目は10m歩行テスト(歩行時間,歩数,歩行速度,ケイデンス),Functional Ambulation Categories(FAC),Manual Muscle Testing(MMT)合計スコアとし,1クール目の開始時および終了時のデータを解析対象とした。統計解析はWilcoxon符号付順位検定を用い,有意水準は5%とした。
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究は愛媛大学医学部附属病院臨床研究倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号:第2603011号)。自施設ホームページにオプトアウト文書を公開した。
【結果】
10m歩行時間は16.1[11.84-26.36]秒から13.5[11.0-21.8]秒へ有意に短縮し(p=0.001),歩数は21.3[19.6-25.5]歩から19.8[18.0-21.8]歩へ減少した(p=0.006)。歩行速度は0.62[0.38-0.85]m/sから0.75[0.48-0.91]m/sに向上した(p=0.001)。一方,ケイデンス,FAC,MMT合計スコアに変化は認めなかった。
【考察】
HAL歩行治療により,神経筋疾患患者において歩行速度向上および歩数減少を認め,短期的な歩行能力改善が示唆された。一方,歩行自立度および筋力には変化を認めなかった。進行性疾患では,機能改善のみならず維持自体が重要なアウトカムとなる可能性が考えられた。したがって,HAL介入では歩行時間などの量的評価に加え,病態や日常生活動作を含めた多面的評価が重要と考えられた。また,本研究は単施設の後ろ向き研究であり,対象数が少なく,対照群を有していない点が限界である。
近年,Hybrid Assistive Limb®(HAL)医療用下肢タイプを用いた歩行治療が神経筋疾患に対して導入され,治験における主要評価項目として有効性が示された2分間歩行距離テストによる歩行機能の改善が報告されている。しかし,神経筋疾患は進行性疾患であり,患者への負担がより少ない歩行評価指標が望ましいがその選定に苦慮することが多い。そこで本研究は,当院における神経筋疾患患者に対するHAL歩行治療の短期効果を検証し,アウトカム選定および介入方法の一助とすることを目的とした。
【方法】
対象は2021年6月から2026年3月にHAL歩行治療を実施した神経筋疾患患者12例(年齢72.5[62.3-75.3]歳,男性7例,女性5例)とした。対象疾患は筋萎縮性側索硬化症2例,封入体筋炎2例,筋強直性ジストロフィー1型1例,球脊髄性筋萎縮症3例,HTLV-1関連脊髄症3例,遠位型ミオパチー1例であった。研究デザインは後ろ向き研究とし,診療録よりデータを抽出した。HALはCybernic Voluntary ControlおよびCybernic Impedance Controlモードにて実施した。評価項目は10m歩行テスト(歩行時間,歩数,歩行速度,ケイデンス),Functional Ambulation Categories(FAC),Manual Muscle Testing(MMT)合計スコアとし,1クール目の開始時および終了時のデータを解析対象とした。統計解析はWilcoxon符号付順位検定を用い,有意水準は5%とした。
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究は愛媛大学医学部附属病院臨床研究倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号:第2603011号)。自施設ホームページにオプトアウト文書を公開した。
【結果】
10m歩行時間は16.1[11.84-26.36]秒から13.5[11.0-21.8]秒へ有意に短縮し(p=0.001),歩数は21.3[19.6-25.5]歩から19.8[18.0-21.8]歩へ減少した(p=0.006)。歩行速度は0.62[0.38-0.85]m/sから0.75[0.48-0.91]m/sに向上した(p=0.001)。一方,ケイデンス,FAC,MMT合計スコアに変化は認めなかった。
【考察】
HAL歩行治療により,神経筋疾患患者において歩行速度向上および歩数減少を認め,短期的な歩行能力改善が示唆された。一方,歩行自立度および筋力には変化を認めなかった。進行性疾患では,機能改善のみならず維持自体が重要なアウトカムとなる可能性が考えられた。したがって,HAL介入では歩行時間などの量的評価に加え,病態や日常生活動作を含めた多面的評価が重要と考えられた。また,本研究は単施設の後ろ向き研究であり,対象数が少なく,対照群を有していない点が限界である。
