講演情報

[62]中等症COVID-19が重症化した患者の長期入院に関連する因子の検討

*新田 翔一朗1、小田 峻也1、梶原 亘弘1 (1. 三豊総合病院 リハビリテーション部)

キーワード:

新型コロナウイルス感染症、肺気腫、long COVID

【はじめに,目的】
 COVID-19罹患後にlong COVIDを呈する患者は一定数存在し,臨床で難渋することも少なくない.特に重症化後は肺の病変がある程度進行しているため,long COVIDが残ることも多い.COVID-19の予後予測は重要であり,本研究の目的は中等症COVID-19が重症化した患者の長期入院に関連する因子について検討することである.
【方法】
 本研究は単施設における後ろ向きコホート研究である.オミクロン株に置き換わったとされる2022年1月1日〜2025年12月31日までの期間にCOVID-19と診断され,当院で理学療法を処方された患者293例のうち,典型的な胸部CT所見である両側性・多巣性にみられるすりガラス状陰影および浸潤影を伴う中等症COVID-19が重症化した患者32例から,死亡退院した13例,退院日の情報が不明な7例を除外した12例を対象とした.重症化の定義は臨床経過中にSpO2 ≦93%または酸素投与が必要や酸素投与量の増量を伴う酸素化の悪化および胸部単純X 線や胸部CT所見にてすりガラス状陰影や浸潤影の増大を伴うものとした.入院日数は当院に入院してから元々の転帰先へ退院するまでの日数とした.long COVIDの可能性が考えられる4週間を目安にし,短期入院群を入院日数30日未満,長期入院群を入院日数30日以上で群分けした.基礎情報と臨床情報をFisherの正確検定,Mann-WhitneyのU検定にて検討し,p < 0.05を有意差ありとした.また長期入院に関連する因子をROC解析にて検討し,カットオフ値を算出した.統計解析は EZR version 1.68を使用した.
【倫理的配慮,説明と同意】
 本研究のデータ抽出に際し,ヘルシンキ宣言に基づき個人情報保護に留意した上で,当院倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号26-CR01-364).
【結果】
 短期入院群が7例(58%),長期入院群が5例(42%)であった.入院日数は短期入院群が19日(14.5-21日),長期入院群が47日(40-99日)であった.短期入院群と比較し,長期入院群では既往に肺気腫あり(0% vs 60%,p = 0.045),Goddard分類が軽症(0% vs 60%,p = 0.045),入院時SpO2(95% vs 90%,p = 0.018)に有意差を認めた.ROC解析における入院時SpO2のAUCは0.91(95%CI:0.78-1),長期入院を予測するカットオフ値は95%であった.
【考察】
 基礎疾患に軽症でも画像上の肺気腫病変があること,入院時SpO2が95%以下を呈することは入院日数30日以上の長期入院関連因子である可能性が示唆された.